等級概念を破壊せよ 〜ゴミF等級が!と罵られた少年は、実は至高の革命家の血を受け継ぐ【天性者】でした。バカにしたやつをざまぁして、学園最強へと成り上がる〜
Episode33 準々決勝とフィオナの涙 ※3人称
Episode33 準々決勝とフィオナの涙 ※3人称
長期休み期間中、アスベルはヴェルディから魔導剣士としての立ち振舞い方を教わっていた。
エキシビションマッチ一回戦の相手ロイードは、初めて見る
二回戦、三回戦も同じ要領だ。体力ともに
『魔導剣士は魔導士レベルで
『
『俺はそこまで量は多くないけどね。状況判断力がすごいって、当時の学園の教官から褒められたことがあるんだ』
指導を受けながら、アスベルはずっとヴェルディの一挙手一投足を観察していた。言うなれば、見るだけで彼の
『君の何がすごいって、なにより
『高度な戦い方……?』
『ああ。普通の魔導剣士は、あくまでサブにしか魔法を使わない。俺が思うに、君ならもっと大胆な上級魔法の行使もできると思う。魔導士みたいに大技を何発も撃てなくても良い、ここぞというときの一発をぶち込むんだ』
『……魔導士みたいに』
『特に、相手がヨハネ皇子のような化け物級の魔導士ならこの戦い方のほうがいいと思う。──まぁ、今からエキシビションマッチまでに仕上げるのは大変だろうけど、どうする?』
『やります。やらせてください、ヴェルディさん』
『ああ。俺も卒業生のよしみで最後まで付き合ってあげるよ。どこまで上り詰めるのか楽しみにしておこうか』
それからというもの、アスベルは常に自分の
剣士として立ち振る舞えばどれくらいの
進化を試すのはもうすぐだ──
『なんということでしょう!! アスベル選手の快進撃が止まることを知りません!! 準々決勝をまたもや一撃で仕留め、明日の準決勝に進出いたしましたっ!!』
「いいぞ!! アスベルっ!!」
「すごいわ、アスベルさんっ!!」
「1年のくせにやるじゃないか!!」
歓声があがる屋内競技場。
アスベルは軽く手を振り返し、明日に備えるために控室に戻る。
いろいろなものを荷物に詰め込んでいるとき、フィオナとユリアがやってきた。
「準決勝進出おめでとう、アスベル」
「……おめでとう……」
「二人ともありがとう」
フィオナは複雑な表情を浮かべている。
アスベルには心当たりがあった。
「負けたのか……?」
「うん。さっきの準々決勝でね。ベスト16には入れたから目標は達成したんだけど……」
フィオナは自分の実力を試したいと言ってエキシビションマッチに参加していた。
とても悔しかったのだろう。
目元が赤く腫れている。
「いざ負けると……とっても悔しくて悔しくて仕方ないのよ。おかしいな、私はただ孤児院のみんなが笑顔で暮らせるように、奨学金を送って満足だったのに……」
「……フィオナ……」
「いいのユリア。──私ね、あなたの隣に立ちたいの。あなたの仲間である以上に、背中を預けられるくらいのパートナーとして隣に立ちたいの。それは……ダメ?」
「ダメじゃないよ」
濡れそぼった瞳が、再び大量の液体を
それは嬉しさだ。
フィオナはアスベルに憧れた。同時に、アスベルにとって自分とは背中を預けられるような
「ありがとう。これだけ聞けたら、いいわ。私はもっと上を目指す。もっと強くなるわ」
そして、それを見ていたユリアは──
フィオナの幼馴染であるユリアは、悲しみを
大好きな
報われなくたっていい。
ただ笑顔で一緒にいれればいい。
ユリアは、あくまでフィオナの幼馴染のユリアとして、フィオナの隣にいると決めていた。
「ユリア……? 大丈夫……?」
「……うん。大丈夫……」
フィオナがユリアの不安げな様子で見つめている。
アスベルもそんな二人の様子を気遣い、「さ、疲れたし帰ろう帰ろう」と、わざとおどけた調子を見せる。
そんなとき、ちょうど最後の準々決勝が終わったようで、盛大な拍手が控室まで響いていた。
アスベルは控室にあるモニターをつける。
『3年生トップクラスの魔導士をくだし、準決勝最後に進出した者はなんとラクバレル財団のお嬢様!! マクロネア・ラクバレル選手ですッ!!』
「あ、あいつこんなに強かったの!?」
「らしいね。マクロネアさんは確か槍使い。学年総合第七位なだけあるよ」
続いて、司会進行係が準決勝の組分けに移った。
残っている四人は、アスベル、ヨハネ皇子、マクロネア、2年生学年一位の戦斧使いの女子生徒だ。
(さて……誰と当たるのやら……)
『Aブロックで戦う選手が決定致しました。1年F組アスベル・F・シュトライム選手と、1年S組のマクロネア・ラクバレル選手です!!』
(マクロネアさんか……)
長期休み期間中、マクロネアはフィオナたちに勉強を教えていた。
情報は少ない。
それでも、アスベルは絶対に勝つ自信があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます