第8話 妖精とあしおと
妖精は、10歳を迎えた人間全員に、必ず一体以上憑く。
生まれたときから憑いているのではなく、あとから個々人に配属されるのだ。
その際、妖精は人間の足音の大きさに応じて振り分けられる。
足音の大きさは、気の大きさ。
気の小さく繊細な人には小柄な妖精が、気の大きくおおらかな人には大柄な妖精が、といった具合に。
妖精側は、なるべく人間に存在を知られたくない。
しかし妖精は、人間に憑かなければ長くは生きられず、また人類全体を大きく上回る生息数を持つ。
適材適所が求められるのだ。
ゆえに、妖精側と人間側、それぞれの特徴を見てマッチングが行われるのである。
そして、人が妖精の存在に気づくのは、往々にして気の大きな人が挫折し、弱気になったときなのだ。
……そんな空想を、タイトルに妖精とつく映画で寝落ちした夢の中で繰り広げた。
短短編集 フィート @senjaku2327
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