第2話 コーヒー/チョコレート

 ホットコーヒーは飲むけど、アイスコーヒーは飲まない。

 夏が迫り、周囲から徐々にホットが淘汰されていっても、断固としてアイスコーヒーは飲まない。

 私にとってのコーヒーは、チョコと混ざり合って初めて成立する、チョコありきの嗜好品。

 チョコの口溶けをジャマするアイスコーヒーは、ただの苦水でしかないのだ。


 「じゃあカフェモカ飲めばいいじゃん、初めからチョコとコーヒーが混ざってるし」と、ある友人は言う。

 だが、そうじゃない。

 カレーのルーとライスを混ぜてから食べるのが許せないのと同じ。

 「結局口の中に入れば同じ」とか、そういう話ではないのだ。


 そもそも、カフェモカはエスプレッソのアレンジ。

 私が好きなのはドリップコーヒーだ。

 前提からして間違ってる、話にならない。

 カレーとスープカレーくらい大きな違いが両者にはあるんだ、出直してこい!


 そんなことを滔々と話す私が、きのこ・たけのこ論争に全く無関心なことに、その友人はひどく憤慨していた。


 ……でも、結局口に入れば同じじゃね?

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