しょくぎょう!3

「さて、職業もわかったことですし行きましょうか」




 そう言って私ちゃんが服の袖を引っ張ってきた。


 行きましょうか、なんて言われても、さっき何か約束をしていたかな。




「いえ。特に約束はしてませんが」




「ま、お約束ってやつだよ。初めの狩り場。初心者にはピッタリだよ」




「ああ、あそこか。確かにちょうどいいだろう」




 三人はそれぞれで通じ合ってるようだが、俺とエーフィは何もわからず話についていけない。狩り場?そもそも俺は武器を持っていない。


 というか、できれば学ランで戦いたくはないんだけど。




「えーっと、武器は?」




「初めは僕の剣を一本貸してあげるよ」




 お金がたまったら自分のをそろえるのがいいよ、といいながら仮面は俺に一本の短剣を渡した。


 見た目に反してさすがに本物の剣、それなりの重さがある。


 とりあえず仮面から渡された剣を受け取った。




「服はどうしようか」




「残念だったわね。このまま行きましょ」




「結論早くない!?」




 学ランはそもそも動きにくいんだけど!




「僕ので良かったら貸すけど」




 そう言って仮面はまたもや仮面を一振りして服を取り出した。ありがたくその服を着させてもらったのだが。


 ……お前、魔法使いになったら?




「あー、なんていうか。似合ってるぞ?」




「目をそらしながら言うな!」




 仮面の服を着てみると、これが案外動きやすかったのだが、それはそうとしてとてもダサい。


 仮面が着ていればそのファンタジーな雰囲気にぴったりと合っているのだが、俺が着ると幼稚園児が大人の仮装をコーディネートしたような感じになってしまっている。




「いえ、似合ってますよ。僕とそっくりです!」




 お前、仮面で前が見えてないんじゃないのか?




「まあ、動きやすそうですし私ちゃんはそれでいいと思いますよ」




 本当にそう思うのか?


 これなら学ランでいいよ。こんな恥ずかしい服装で外を歩き回るんだったら学ランでいいよ!


 ……金が入ったら、まず服を買おう。




 ちなみに天使は着替えの時から目隠しをさせてもらっている。外さないように腕も縛っておいた。


 なぜかと言うと。




「ねえ、もう目隠しはずして良いんじゃないの?私暗いの嫌いなんだけど。早くあんたの間抜けな姿を見せなさいよ」




 この通り、バカにする気満々だったからだ。


 ってかそんな言い方で外すわけないだろ。今までどんな生活をしてきたんだ、こいつ。




「さて、それじゃあ行こうぜ」




「「「おー!」」」




「ちょっと、はずしてよ!!」




 横でなにやらわめいている何かがあるような気がしたけど無視して進もう。




 ……しばらく進んだとことで噛みつかれた。なんてやつだ。

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間に合わせで転移させられた異世界でできた仲間にネタ要員しかいないんだが~勇者な俺の職業がとても言えたもんじゃない~ なすりゃんぽん @nasu-renaline

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