なかまっ!3

 俺がそう言うと三人は荷物をまとめ始めた。


 この部屋でどれだけ待っていたのか、私ちゃんは部屋の中に散らばっていた小物を集め、仮面はその辺に散らばっていた仮面を集め始めた。




「ところであなたたちは何の職についてるの?」




 二人が集めているのを眺めながらエーフィが尋ねる。それは俺も気になってはいた。


 見た目から見ると、仮面はどう考えても魔法使い、私ちゃんも白いロリータ風の服を着ていて魔法使いに見えるし、サタンも黒い服に身を包んでいて魔法使いに見え、三人とも魔法使いというかなりバランスの悪いパーティになってしまっているのだが……。


 エーフィの質問にまず仮面が答える。




「僕は剣士です」




「「ダウト」」




「えぇっ!?」




 このバカとまさか意見が合うなんて、といいたいところだが。


 にしてもなんて嘘をつくんだ、こいつは。どっからどう見たって暗殺者とかボスとかそこら辺のキャラじゃねえか。魔法がないとしたら絶対トランプとかつかうタイプじゃねえか。剣だけは似合わねえ。


 しかし、仮面は、




「本当ですよ、ほら!」




 と言って仮面は拾い集めていた仮面の一つを大きく一振りして剣へと変える。


 ……マジックかな?




「そして私ちゃんは魔法使い!」




 まあ、それは何となく予想は付いてたな。格好がもう厨二っぽ……魔法使いらしいもん。




「これを使います!」




 そう言って彼女は集めていた小物を見せてくる。




「これは?」




「私が作った魔法の結晶です!」




「どうやって使うんだ?」




「こうやってです!」




 そう言って私ちゃんは結晶を一つ握り閉めて、手を大きく一振りする。


 すると、私ちゃんの手が光りだし……。




「剣じゃねえか!!」




「そうです!私は剣を出せる魔法使い!」




「かぶってる!仮面とかぶってる!」




「別にいいじゃない。魔法使いって名乗るくらいだもの。魔法もちゃんと使えるんでしょ?」




 ええ、とうなずく私ちゃんだが、エーフィの天使といいながら魔法がほぼ使えないことといい、この世界は信用ならない気がする。こいつも実は魔法が使えないとかありそう。


 魔法が使えるとは言っても皿洗いの魔法とかなんじゃないのか……。


 まあいったん置いておくとしよう。




「私は商人」




「お前もう帰れ!」




 なんだよ商人って!そんなのがなんで勇者パーティーにいるんだよ。帰って商売してろよ!


 ってかサタンって名前で商業やって……儲からないだろ。




「冗談だ。私は水属性」




「属性なんて聞いてないわよ!」




 ごもっともだ。いいからさっさと職業を教えろよ。っていうか属性ってなんだよ。


 ……まて、なんでエーフィがツッコミに回ってるんだ。まさかこのメンバーだとエーフィはまともな人間の部類なのか?


 ごくり、と唾を飲み込む。いやいや、まさかな。今回だけだろう。




「すまない。私の職業は水商人だ」




「「混ぜろなんて言ってない!!」」




 エーフィと声がそろってしまった。


 まずい、こいつ、このメンバーだとツッコミ側になるのか?このメンバーだと常識人なのか?




「二人とも、息ぴったりですね。さすが手錠で繋がれて来るだけはあります」




 しまった。手錠をさっさと解いてもらわなくては。


 ……まあ、こいつらが手錠をおかしいと思うようなまともな奴じゃなかったのは不幸中の幸い……?


 いや、まともじゃないのはそれはそれで嫌なんだけど。




「……それで、結局カノンの職業はなんなの?」




「僧侶だ。回復できる剣を出せる」




「結局剣かよ!」




「なっ!私だってかぶるとは思っていなかったのだから仕方ないだろう!?」




「てか回復できる剣って何!?体にさすの!?怖いわ!!」




「そうだ!こいつでぶすっとやれば一発で回復だ!」




 そう言ってサタンは魔法で剣を作り出し、俺のほうに向けてくる。


 ダメージくらいそうなんだけど、そこんところはどうなってるんだ!?


 ……こいつ、本当に味方なんだろうな?回復するとか言って油断したところを剣で刺す……とかされたらたまったもんじゃないんだけど。

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