なかまっ!2
「まて!!私は敵じゃない!!ましてや魔王なんかじゃない!!!」
そう言うなんとか・かんとか・サタン。
そうは言ってもお前サタンじゃん。魔王の名前じゃん。こいつ倒せばもう魔王城行かないで良いじゃん。
どうせこのまま進んだってふはは、実は私が魔王だったのだ、って感じの展開だろ?よし、さっそく剣を……いや、今は何ももってないんだっけ。
「落ち着きなさい、ネグボッチ。この子からはそんな魔力を感じないわ!ふふん、なんでそんなことがわかるのか教えてください麗しの天使様、みたいな顔してるわね!」
してないけど。
「なら仕方ないわ!そこまで聞くのなら教えてあげる!」
聞いてないが。口を開いてすらいないが。
「なぜなら私が天使だからよ!!」
「なんだこいつ……」
「天使よ!」
はいはい、天使笑だろ?ってかそう言うことじゃねえよ。
だめだこいつ。頭が痛くなってきた。
しかし、エーフィのその言葉を聞いた瞬間、部屋にいた三人はかなりの反応を見せた。
「天使 (笑)様ですか!?本物なんですか!?」
「私、私って言います!天使 (笑)様、握手してください!」
「天使 (笑)様!本物なの!?是非お得意の光の魔法を!闇を照らすという魔法を見せてください!!」
うげ、すごい食い付きだ。いったいなんでこんな食いつくんだ?
なんていぶかしんでいると、そんな俺の視線を賞賛、うらやましいとかいうエーフィを称えるタイプの視線と勘違いしたのか、呼び方に少し違和感を覚えながらもエーフィはどや顔で答える。
「ふふん、良いわよ!『ホーリー・ライト』!」
天使笑が調子に乗りながらドヤ顔で呪文を唱えると光が現れ……ん?
確かにエーフィの指先はわずかに光ってはいるものの……。
「どこが光ってるんだ?」
「あ、ここ日が当たりすぎてて光が見えないわ」
なんじゃそりゃ!お前の光は太陽光以下かよ!?普段は使えないじゃねえか!!!
ってか何がホーリー・ライトだよ。聖なる光が太陽の光に負けてて見えないとかダサすぎるだろ……。
「そうですか……」
エーフィの光のしょぼさに私ちゃんもとても残念がっていた。仮面は表情がさっぱりわからないが、どこかがっかりした雰囲気を出している。そして、サタンはというと少しつらそうに眼を細めている。
「お前、なんで目を?」
「ん、ああ、目にゴミが入ってな」
「…………」
「なんだその疑いのまなざしは!!」
「なあエーフィ。お前のその光って魔物を浄化する力とか……」
「あるわよ」
「…………」
「本当に目にゴミが入っただけだ!!」
そう言ってサタンは弁解をするが、どう見てもエーフィの光にあてられて弱っているようにしか見えないんだけど!?
もう、もう!と怒りをあらわにするサタンを無視してエーフィは自身の紹介を始める。
「私はエーフィ。みんなも知っているように天使よ!」
三人から少し期待外れだという目を向けられながら、しかしエーフィはそんなものには気づいていないようでどや顔をしたまま自己紹介をつづけた。
そして最後に、
「当然私は神聖な存在だから、みな敬うこと!」
といって締めくくる。
「じゃあ俺も。俺は……」
と、続いて俺が名前を名乗ろうとすると、よこからエーフィが俺の自己紹介を遮る形で口を挟んできた。
「こいつはネグボッチ。みんな、これからよろしくね!」
……もういいよ、それで。
そろそろ抵抗する気力をなくした。っていうか、こいつ俺の本名知らないだろ。
とにかく、不安は残るものの、これがメンバーのようだ。みんな『ゆうしゃ』の紋章もつけてるし。
「さて、それじゃあ早速冒険者としての活動を始めたいんだけど……案内してくれないか?」
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