てんかい!4
白い光に包まれながら目を覚ます。
開いた目に入ってくるものはすべて白い。とにかく白い。
……目が慣れたときに改めて確認してみたら目に優しいクリーム色だった。
「あら?転生の方ですか?」
どこか落ち着いた感じのする声が聞こえてきた。
声のする方を見ると緩やかな金髪を胸のあたりまでに伸ばしたたれ目の美人がそこにいた。
おお……これが女神様なのか。
「違うわ。体と記憶をそのままでお願い」
どこか頭のねじが抜けて空っぽになったかのように無駄に響く声も聞こえてくる。聞きたくなくても耳に入ってくるタイプの声だ。
「あらあら。そちらにありますわよ」
「会話が成り立ってねぇ!?」
何がそっちにあるんだよ!?記憶と体をそのままで移動できる装置!?
って声が出る!?
驚きつつ自分の体を見る。部屋にこもることが多かったせいで青白い肌!確かに俺の体だ!
「あら、確かあなたは……ネグボッチさん」
「違います」
「嘘言わなくて良いのよ、ネグボッチ」
「あら、そうなんですか。ところでネグボッチさん。オプションはどうなさいますか?」
だから違うんですけど。話を聞かないな、この女神。
まあこの際登録されてしまったもんは仕方ない、なんて諦めたくはない。諦めたくはないのだが……このまま抵抗を続けたとして、そんなことをしていまさらやっぱりあんたの転移やめ、なんて言われたくない。
それにオプション。いい響きの言葉だ。きっとチート能力を俺に授けてくれるに違いない。この記憶と体のままって言うのはさっきエセ天使がつけてくれるって言っていたからいいにして、他には……なにがあるんだ?とにかく見てみないことにはわからないな。
「オプションは何があるんですか?」
「あらあら、困りましたね」
だめだ、会話が成り立たない。この女神様と話すのはあきらめよう。
「なあ、天使 (笑)」
「なんかその呼び方悪意があるように思えるんだけど。エーフィ様か、さっきみたいに麗しの天使様で良いわよ。……で、なに?」
「ああ、わかったよ麗し(笑)の天使 (笑)様。オプションって何があるんだ?」
「バカにしてるでしょ!?」
「しようはずがないでございましょう」
俺がバカにしようとしているといっているのかしようとはしていないといっているのかがわからなかったようで、少し眉をしかめて考えた後、唾を吐いた。
「知らないわよ。そこでニコニコしてるのに聞きなさい」
「お前一応天使 (笑)だろうが……。汚いぞ。
それにニコニコしてるのって。どう見てもこっちの女神様の方が偉いだろ。ちゃんと敬えよ」
「あら、知らないの?私、偉いのよ」
絶対嘘だ。
「あ、嘘だって思ってるわね!?本当よ!」
どう考えても嘘だろ……。こんなのが偉いやつならこの世界は終わりだよ。
それはさておきオプションがわからないことにはつけられないぞ……。できればつけたいからな……。多分お得なものだろうし。
「はい、オプションはお得ですよ」
なるほど、でもどうやってオプションを頼めばいいのかわからないし……。
「私に一言言っていただければ」
なるほど……って、
「話は通じないのに何で心で思ってる事は通じるんですかね!?」
おかしいだろ!!
「なにがおかしいんですか?」
だめだ、口で言ってることは通じない。おかしいだろ。会話できないのに察しがいいってことか!?この女神も頭おかしいんじゃないのか?
……まあ仕方がない、口でこの女神に物を伝えるのは諦めよう。
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