6/8(日)

 本日の実験の内容は「接触」である。「自分勝手な母」と明日ケ谷君子(以下略称)の接触が主だ。「自分勝手な母」は基本的に大人しい性格で、自分の身に危険が及ばないと判断した場合は、毒による撃退行動を行わない。

まもなく午前11時。早々に実験に移ろう。


結論から言うと大成功だ。君子君の反応もこちらが欲しかったもの通りであったのも好評価だ。「自分勝手な母」の巣に入った際の君子君の絶叫ったら感動ものだった。気を失わずに、立ち尽くしていたのは身の危険を感じたからなのか、思考を放棄したからなのか。

 まあ一度巣に入ったらデータを取り終えるまで出すことは出来ないから気絶したら本当にされるがままなんだけどね。

 今日もデータを取り終わったのが、21時前ほどだったか。

なんせ、いままでの生物とは違う反応を示すものだから私も熱が入ってしまった。

要点を絞るなら2つ。

1つ目「威嚇行動」。君子君が巣に入った途端に威嚇の体勢を取った。私以外の生き物は餌か苗床にしか思っていないはずの彼女が、君子君に対して威嚇をし、部屋の隅に追いやる姿を確認した。。それはつまり、自分の領域を侵害されたと感じたから?彼女には君子君がどう見えたのだろうか?疑問がふつふつと湧いてくる。

2つ目「吸血(体液の摂取?)」。観察を開始してから3時間経過した時だった、突如君子君に飛び掛かり、今まで確認したことの無い管を君子君の喉に押し込んでいる姿を確認した。後程確認したところ、喉奥に小さな傷があり、体液を吸われたような形跡があった。上下関係をわからせるためか?食事として体液を摂取したのか?またしても疑問が生まれる。

 考察が捗るのは良いが、肝心なのは君子君だ。今日の実験で大分精神を摩耗しているようだ。嫌いな蜘蛛と10時間以上共にしてなおかつ攻撃のような事をされた分けだから心身ともに大きなダメージを受けたことだろう。まだ肝心な仕事は多く残っているから、壊れる前に次の段階に移った方が良いかもしれない。

 そういえば、今日観察中に流していたテレビのニュースで行方不明になっている少女の話が上がっていた。このご時世に誘拐?物騒な世の中だ。警察が捜索を続けているものの、痕跡1つ無いらしい。不思議なものだな。

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異種配合観察日記 おこげっと @okogetto

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