異種配合観察日記
おこげっと
6/7(土)
まず、先に前提として話しておきたいのは、私はキメラを作るためにこの実験をしている訳ではない。
私が研究対象にしている蜘蛛、正式名称はまだ決めていないが「自分勝手な母」と呼んでいる個体の観察日記であることだ。
この蜘蛛に出会ったのは約8年前。1匹の中型犬に大量の卵を「直接」体内に産み付けていた。雌雄同体のようで、番の雄はどれほど探しても見つけることが出来なかった。サイズはその犬半分程の大きさである。
さて、この研究においての本題に入ろう。この「自分勝手な母」は自分以外の動物に大量の卵を産み付けその生物を「母体」として子供を育て繁殖していくことはこれまでの研究でわかっている。
しかし、とある問題が発生した。生まれ、育つ子蜘蛛達は大抵孵化してから2週間も経たずにすべて死滅してしまう。
それは、「自分勝手な母」も理解しており、より上質な母体を求めて、何処からともなく人間の生活圏に降りてきたのだろう。
私が最後に見た大型の個体は中型犬。そこから数多の生き物を母体にしてみたが、やはり2週間ほどで死滅してしまった。
どうしたものか…と私は悩み抜い末とある仮説に辿り着いた。
母体になる上で必要なのは、「性別は雌」そして、「永い寿命を持ち」、かつ「なるべく若い時間が長い個体」という推論に行きついた。
これらの条件に適した生物とはそう…人間だ。
「自分勝手な母」よりも小さいと産み付けの過程で母体は死んでしまう。かといってサイズだけ気にしていては子蜘蛛は成長せず死滅する。
なら、私が出した推論を決定付けるために一人の少女に協力を取り付けた。
彼女がどのような母体になるか楽しみだ。配合は明日から執り行う。以上。
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