第9話 そんなやばいことになるのはごめんこうむりたいです
話がそれましたが、まぁ手書きの記録なんてそんなもんですよね。
後からいろいろ思い出したり、何かにつながって思い出したりとそんなことの繰り返しです。
時系列順の体系的な記録はこれを読んだ後の世の歴史家に任せます。
私は今思いだせる事をできるだけ残しておくことが仕事です。
話を元に戻すと討伐も何も年に数回は一騎打ちが発生しているのが一点。
そして仮に倒して封印できたとてその際にもう一つ厄介なことが起きる可能性が高いのが二点目です。
これはそう決まっているというわけでもなく、あくまでも可能性の段階ですが、私が勇者として魔王を封印した際に、魔王位が継承順位一位の私に継承される可能性があるという事です。
魔王位の継承に関しては、魔王を倒した魔族の者が魔王位を継承するか、継承順位の順に継承がされるか、魔王が次代の魔王を指名するかというのがあります。いずれの場合でも魔王の玉座がそれを認めるかという確認があり、玉座に認められて魔王位の継承となります。
無論例外もありますが、大きく見るとこの三つのパターンに当てはまる場合が多いです。
ちなみに母が魔王位を継いだ時は三つ目のパターンでした。
前魔王は今嬉々として盆栽にはまっています。私の母方のお祖父ちゃんなんですが。
この魔王位継承で見た場合、私が母を倒すか封印するかをすると一つ目と二つ目の条件がそれだけで達成できてしまう事になります。この場合少なくない確率で私が魔王位を継ぐことになります。
結果『聖剣を持った勇者兼魔王』というとんでもないものが誕生します。まさにミイラ取りがミイラあるいは勇者が魔王に様変わり。
「ふっふっふ、よく来たな勇者よ。」「覚悟しろ魔王」を一人芝居でこなせます。
いや、仮に魔王位を継いだとしてもやりませんよ。やりませんけど、なんかちょっと気にはなるかなーって思います。
もっとも魔王の間でそんなことをやっているのを他の誰かに見られたら死にたくなりそうですが。
うん。もし万一見られたら口封じに・・・というのを考えるのはやめておきましょう。
『勇者兼魔王』そんなもの誰が倒せるんだよって。
知りませんよ。むしろ私が教えてほしいくらいです。
現状では私はまだ父にも母にも勝てませんがそれを上回ってしまったらもうどうなるか考えたくもないですね。
私としてはそんなものは願い下げですし、できる事なら魔王位も継ぎたいとは思っていません。
できるだけそのまま母に魔王位を維持してもらうのが希望です。
あ、魔王の玉座の話が出たのでついでに書いておくと、この魔王の玉座ですが、詳細は実は私たちにもわかりません。はるか昔からあり、魔王は玉座に認められて初めて魔王としての力を使うことができるようになります。
一方で何を基準としているのか、なぜ魔王としての力が使えるようになるのかなどはわかりません。
またこの玉座をどうにかする事は出来ません。
というのは遥か以前攻め込んできた勇者に破壊されたり、消滅させられたこともあったそうなのですが、翌日になるとなぜか無傷で元あったとこに鎮座していたそうで、なんでそんなことが起きるのかは実は魔王ですら知らないという謎の多い玉座です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます