第6話 決着
オレと藤林は星田の異能で、別次元の生徒会室に連れてこられた。
これはつまり、藤林に異能が通じたということだ。
藤林に異能が通じる条件……なんとなく察しがついた。
『トラックの水跳ねを無かったこと』にした時、藤林の意識ははっきりしていた。
だが『のぼせを無かったこと』にした時は、藤林の意識は
そして今も藤林は気を失っている。
おそらく藤林の意識があるときは異能が通じない。
でも藤林の意識がないときは異能が通じる。
これで間違い無いだろう。
オレは藤林に『匂いの効果を無かったことにする』を使ってみた。
「う……うん」
やはり、藤林に異能が通じた。
「こ……ここは?」
「おや、もう目覚めちゃったのかい」
「ふ……副会長……あ……浅井くん!」
気を失ったオレを見て狼狽する藤林。
本当は今すぐにでもヤツをブチのめしてやりたいが……さらわれた他の女子を発見してからだ。
「ナイト気取りで一緒に来たんだろうけどね……役にたたなかったよ……彼」
やかましい、後でむしってやるから黙ってろ。
「浅井くん! 浅井くん! しっかりして!」
オレを必死で揺さぶる藤林。悪いな……まだだ。まだショータイムは始まらない。
「無駄だよ藤林さん、仮にその男が起きても何にも出来ないよ……だって」
不気味な笑みを浮かべる星田。
「だって、この部屋は僕の意のままに動かせるんだよ! 君もコレクションに加えてあげるよ!」
部屋から触手が出現して、藤林とオレを吊し上げた。
そして、ヤツにもて
だめだ……沸点だ……もうこれ以上抑えられない。
『この空間へ外部から干渉するのを無かったことに』
『この空間から外へ出ることを無かったことに』
これでヤツに仲間がいても助けにこれない。
これでヤツがこの空間から逃げ出すことができない。
「藤林さん……おいで……たっぷり可愛がってあげるよ」
星田が触手で藤林を引き寄せる。
「いや……いや!」
怯える藤林……いま助けてやる。
『星田がこの部屋を意のままに操れることを無かったことに』
『触手を無かったことに』
『時間の経過を無かったことに』
触手を無かった事にしたせいで藤林と女子生徒たちが空中に放り出された。
だから僕は時間を止めておいた。
『身体のリミッターを20%無かったことに』
僕は身体のリミッターを20%だけ解除した。
身体のリミッターを解除したのは空中に放り出された彼女たちを救出するためだ。
普通にジャンプしても空中に放り出された彼女たちには届かない。仮に届いたとしても、抱きかかえて着地なんかした日には大惨事だ。
でも20%上がった身体能力なら別だ。
オレは止まった時間の中で悠々と彼女たちを救出した。
それにしても……みんないい身体してやがる。星田め……こんな可愛い子といい思いしやがって……許せない!
「……」
……オレもちょっとだけいいかな?
……救出の報酬として、1人ひと揉みさせてもらった。もちろん藤林もだ。
『時間の経過を無かった事にを、無かったことに』
そして時は動き出す。
「え……」
驚く星田。そりゃそうだろう。さっきと全然状況が変わってしまったのだから。
「あ……浅井くん」
「大丈夫だ……彼女たちを介抱してやってくれ」
「彼女たち……」
周りを見渡す藤林。
「酷い……」
そうだ酷いことをしやがった。
「早く……」
「は……はい!」
オレは20%解放した身体能力で一気にヤツとの距離を詰めた。
「ひっひぃ……」
「さっきまでの余裕はどこへいった?」
「な……なんで、触手が出てこないんだよ!」
「あ、それ、オレが無かったことにしておいた」
「な……無かったことだと?」
「こういうことだ、お前の右腕を無かったことに!」
星田の右腕がなくなった。
「ひぃぃぃぃ」
星田のヤツ……怯えてやがる。その顔が見たっかったんだよ。
「髪の毛を無かったことに」
宣言どおり、ネジネジうっとおしいヤツの髪を無かったことにした。
「嘘をつくことを無かったことに」
オレは星田が嘘をつけないようにして、聞きたかったことを尋問した。
まず星田の異能は先天的なのか後天的なのか?
答えは後天的だった。
その異能は誰に与えてもらった物なのか?
答えは分からないだった。
そして、仲間はいるのか?
答えはいないだった。
その他にも色々と聞かせてもらった。少し気になったので藤林との関係も聞かせてもらった。
「視力を無かったことに」
「ひぃぃぃぃぃぃ」
そして最後にヤツの視力を奪って、彼女たちの元へ突き出した。
誰か1人ぐらい自殺しないか心配だったが、みんな案外たくましくて、星田のヤツは3人の被害者の女の子たちにボコされていた。
あられもない姿のJKにボコされる。
視力が奪われているとは言え、ドMならご褒美だ。
もっと別のお仕置きを用意すればよかったと思った。
————————
【あとがき】
無双です!
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