第4話 噂
オレは異能に容赦しない。
中には何の害もない異能もある。
だが、例外はない。
異能を無かったことにする。もしくは能力者を無かったことにする。
常にこの二択だ。
だから、いずれ藤林も……。
もちろん能力者とバトルになることもある。
だがオレは負けない。
オレは自分の死も『無かったこと』にしている。
つまり、自分で『無かったことにするを、無かったこと』にしない限り死なない。
同様に催眠や洗脳の類も通じない。
いざとなれば時間を止めることもできる。
オレの異能『無かったことにする』は控えめに言っても無敵だ。
どの程度の規模まで異能が発動するか実験するために、1度某大国を『無かったこと』にした事がある。
流石のオレもあの時はひいた。
すぐに『無かったことにするを、無かったこと』にして事なきをえたが……。
オレがちょっとエロいだけのナイスガイで良かったと、心の底から思った。
もし、この異能をサイコ野郎が手に入れたら世界は終わる。
因みに昨日の菜奈の悲鳴の原因は実にくだらない事だった。
菜奈の胸が本当に2ミリ大きくなっていたのだ。信じがたい事だ。
とりあえずオレは、お祝いとばかりに脱衣所で上半身裸だった菜奈の生乳を揉みしだいてやった。
——それはさて置き、最近校内で奇妙な噂を耳にする。
神隠しだ。
しかも被害者は、オレがいつか異能を使ってエッチなことをしてやろうと思っていた、可愛い子ばかりだ。オレは絶対に犯人を許さない。
被害者の親からは警察に捜索願いが出ていない。学校側も特に問題視していない。
異能が絡んでいなければ、あり得ない奇妙な事件だ。
「おはよう、浅井くん」
「おはよう、藤林」
今日もビシッと二つに束ねたおさげに、ロイド眼鏡。スタイル活かせていない校則通りの着こなしの藤林。昨日の藤林との出来事が嘘のようだ。
「昨日は……その、ありがとう」
「ああ、気にしなくていいよ」
オレの方こそ色々ありがとう。
「菜奈さんって、浅井くんの彼女?」
「んなわけねーだろ、住み込みの家政婦だよ」
「す……住み込み、若い男女がひとつ屋根の下で?」
若い男女がって……藤林の方が断然若いのに。
「まあな」
「こ、こ、こ、高校生なんだから、乱れた関係は慎むように!」
「はいはい」
やっぱりザ・学級委員長だ。
——神隠しの噂と裏腹に校内は平和そのものだった。
犯人は可愛い女子ばかり狙っている。そして犯人とオレの女子の好みはほぼ同じ。
オレの好みによると次のターゲットは1年の夏山さんか、3年の秋山さん。
だが、学年もクラスも違う2人を守るのは流石のオレも困難だ。
うちのクラスにオレ好みの可愛い子がいたら良かったのだが、みんな少し系統が違う。
悩ましい限りだ。
うん……そう言えば……いるじゃないか……うちのクラスにオレ好みの可愛い子が!
もちろん、藤林だ。
藤林がそのポテンシャルを発揮したら、神隠しは必ず藤林を狙うはずだ。
何か良い方法はないか……。
……。
……面倒だ……藤林に直でお願いしよう。
俺は次の休み時間、藤林に直でお願いする事にした。
——「藤林、話しがあるんだ……いいか?」
「う、うん」
ちょっと教室が騒ついた。
なんだよ、男子が女子を誘うのが珍しいのか。
「なあ藤林」
「うん」
「髪ほどいて、メガネとってくれないか?」
「え……」
「んで、出来ればもう少し、スカートの丈も短くしてくれよ」
「ええええ」
藤林のやつ、驚いている。そりゃ驚くよな。
「そ、その方が……浅井くんの好みなの?」
好みか……まあ好みだな! 胸元をもうちょい開けてくれたら完璧だ。
「ああ、好みだ」
自分で言っといてなんだが、まあ無理だろうな……さすがにイキナリこんなお願いをするのは、失礼過ぎる。
「わ……分かった」
うんうん、やっぱりそうだろう。
あれ?
今なんて言った?
「藤林、今……」
「分かったって言ったの」
マジか! 言ってみるもんだ!
「そのかわり……菜奈さんとの乱れた関係をやめると約束してくれる?」
約束も何も乱れた関係じゃない。
毎日おっぱいを揉ませてもらってるだけだ。
でもまあ……。
「分かった、乱れた関係はやめる」
「信じていいの?」
「もちろん!」
まあ、ことが解決したら、藤林の異能も記憶も『無かったこと』にするし、問題ない。
メガネを外し、スカートを少し上げる藤林。
「ね、髪は浅井くんが解いて」
「うん」
キレイだった。
メガネを外して、髪を解いた藤林は……。
控えめに言って超絶可愛い。
————————
【あとがき】
藤林さんもしかして……。
本作が気になる。応援してやってもいいぞって方は、
★で称えていただけたりフォローや応援コメントを残していただけると非常に嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます