夢の話

 夢の中でウサギを追った。草っ原を駆けて、転がる岩に足をかけそれを追った。たぶんこれも夢だと気付いていたし、自分の視線も低かったから子供かウサギの姿だろう。視点が低くなったし、草のにおいがしたからぴょん。もたっとした手がついてたからうさぎになったみたいだぴょん。


 まえをぴょんぴょん走るウサギは、自分がちゃんと、ウサギのあとについていけてるか、後ろをふりかえりながら、ぴょこぴょこジャンプして走ってる。自分は夢中になって追いかけて、いつのまにか道のてっぺんについたぴょん。いなくなったと思って、キョロキョロしたら、すみっことすみっこにいたから、どっちを追いかけようか迷ったぴょん。


 そうしたらうさぎとうさぎの間に木の実があったから、それがほしくて、うれしくてジャンプしたつもりだったんだが、自分の体は真っ逆さまに崖の上から落下した。落下したのは自分だけで、木の実なんてなかったんだとすぐに理解できた。自分を騙そうとしているのは誰だったか。


 2匹のうさぎはどういうわけか、「60点、60点」と言いながら崖から自分を見下ろしている。伸びるように生えていた木の枝を掴もうと右腕を伸ばしたが、肘から下が無かったことを忘れていた。義手をどこに落としてきたのかわからないまま、激突するのと同時に、落下感で意識がこちら側に戻った。


 体が一瞬跳ねたことでそれがわかった。

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