第6話 名前(5)朝霞美優、岩瀬基樹
刀麻のコーチ、そして洵の元コーチです。第三章の主人公でもあります。
前作「SILVER EDGE」には全く出てきませんでした。「氷上のシヴァ」としてリメイクするにあたり、最初に作ったキャラクターだったと思います。
前作では刀麻がなぜフィギュアスケートに戻るのかという動機が抜け落ちていたので、スピードからフィギュアへという「転換」に立ち会うキャラクターとして肉付けをしていきました。
また、前作はほとんど女性キャラクターが出てこなかったので、今作はなるべく男女比率を偏らせないようにしようと思い、性別は女性に設定しました。
朝霞は、埼玉県の朝霞市に由来しています。昔高校の部活で行った時に素敵な名前の街だなと印象に残っていたので。でも、名字としては存在しないようです。幽霊名字。
美優という名前は、最初は美夕でした。でも一つの名前に朝と夕が同居しているのはおかしいと思い、美優に変更しました。
当初は恋愛を絡める予定は全くありませんでしたが、洵の恋慕と、刀麻の強引さが美優に絡むことで、いい感じの色気が加わったと作者としては思っています。
(ちなみにベタですが、第三章での二人きりのラストダンスは疑似セックスを描いています。気付いている方が多いのか少ないのかは分かりませんが……。あそこはどうしても刀麻を極力「悪魔」として描く必要があったので)
作中最大の問題児(オッサン)。この人のせいで物語が異様になっている、とすら言えますが……
彼もまた今作で初めて立ち上げたキャラクターです。
そもそも、「SILVER EDGE」ではコーチにはあまりスポットが当たっていませんでした。高校生同士のやり取りが描ければそれでいいと思っていたので……。
でも、本気でフィギュアスケートを題材に小説を書くのであれば、指導者を物語の本筋から外すのはありえないと思い、腰を据えてキャラを練っていきましたが……
一番、「どうしてこうなった」という人物ですね。
当初は噛ませ犬みたいな役割だったと思います。洵のコーチとして成功する岩瀬、洵を奪われた美優。でも、美優は新たに刀麻という相方を得て、洵と岩瀬を見返す……的な。
しかし、「銀盤」設定を導入するにあたって、誰か一人、世界そのものをメタ的に疑っているキャラクターが必要だと思い、岩瀬に白羽の矢が立ちました。
ちなみにあの独特の厨二口調は、「空の境界」という小説の蒼崎橙子というキャラクターの影響です。物語上の立ち位置という点でも、岩瀬は橙子に大きく影響を受けています。
美優と岩瀬は洵にとっての疑似両親です。
当初は洵の家族関係(汐音を亡くした霧崎家の再生)を第五章のテーマにしようと思っていたのですが、尺的にスケート以外の人間関係を盛り込むのは無理でした。
そこで、美優を母親、岩瀬を父親に見立てることで、洵の子供から大人への成長・自立を描くという方向に舵を切りました。
五章は母子分離の物語です。
洵は胎児であり、美優は母親です。二人は汐音というへその緒で繋がっています。岩瀬はその癒着を見抜いており、洵に対して「本当はまだ生まれてもいない」と言うのです。へその緒を断ち切るのが、疑似的父親としての岩瀬の役目です。
(五章でやたらと赤ん坊の比喩が出てくるのは、洵自身が「卵の殻を破らねば雛は生まれずに死んでいく」ということを本能的に直感しているからです。洵は刀麻を何かと「赤ん坊」「ガキ」と非難しますが、本当は自分自身に対しての言葉でもあるんですね。)
朝霞は埼玉県朝霞市から来ていると前述しましたが、美優の名字の候補には「浅尾」がありました。
浅尾と岩瀬……これじゃ、あまりにも露骨すぎて興ザメですよね。(小説は背後に作者の影が見えすぎると色褪せる!)
涙を呑んで「浅尾」は諦めた、ということも中日ドラゴンズファンとして付け加えておきます。
ちなみにこの二人、「結婚」ルートがありえます。断言はできませんが……。
恋愛関係への発展を予感させる後日談を、エブリスタ版「氷上のシヴァ」のスター特典にて公開する予定ですので、気になる方は是非エブリスタのスターぽちぽちをよろしくお願いします……(宣伝で締める)
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