近接戦授業
更に数日が過ぎて、ボクにとっては厄介な日がやってきてしまった。
装備が届いたのだ。そしてその結果近接武器の扱いや運動能力における体の使い方などの授業や指南が始まる。
もちろん、最終的にはどの分野を伸ばすかとかは選んでいけるという説明は最近受けた。
大きく分けると魔法か近接武器かサポートに回るかなどらしい。ただ、基礎はすべてこなさなければならないわけだ。
まあ、ここ最近の魔法の授業では、ボクはひどい有様だったからやっとふがいない姿じゃない部分を見せられると思う――が、目の前で体から火でも吹き上がるんじゃないかというぐらい燃えているアミリアさんを見ていると不思議と嫌な予感しかしない。
それと届いた防具についてだ。
サイズはもちろんぴったりになっているし、いい職人が作ったのが見て取れる。
見ては取れるんだが……。
「おかしくない?」
「何が?」
授業が始まるよりも早めについて待っている間に思わず口に出してしまったらオリエさんが反応してくれた。
「この装備。守ってなくない!?」
「いえ、まあ急所は守っているから。一応、入学試験のときのスタイルや適正から考えた初期のもの」
「そうだけど……たしかに今後次第で追加発注は有りっていってたけど!」
ボクは自分の装備を改めて確認しながらどうしても違和感を持つ。
騎士のような全身をきっちり守る鎧を予想はしていたし、そうでなくとも防具というのはきっちり守ってくれると思っていた。
だが、実際に届いたものは腕や脚などが微妙に露出したりしていて、前の開いたロングスカートとでもいえばいいのか。もちろん中に別のパンツもはいているから、不健全的な心配はないけど。
ただそれにしても露出が多かった。急所部分の守りはしっかりしているが、その他の部分は薄い布で繋いでいるだけだったり、肌が露出している。
「だけど、装備と一緒に制作意図ももらったはず」
「渡されたよ。入学試験や身体能力の高さなどから回避を重視して急所部分を重点的に守る動きの多い型の防具を制作しました。少しはためいているスカートや布部分は魔法耐性に優れた物となっているので魔法を受けそうになった場合、体勢を整えてその部分で受けれるようになるのが理想の動きですとかなんとか」
「……やっぱりスタイルがいい」
「そ、そういうのは今はいいから!」
「いえ、ですが露出が多くても見栄え的に気にならないのは、女性的には羨ましい限りかと」
「うぅ……」
喜んでいいものかわからない。だいたい、防具ってこういうものだっけ。
ちなみにオリエさんのほうは魔法使いのためのローブと中に、おそらく皮製か薄めの金属防具を着ているであろうイメージ通りの装備だ。
「な~っはっはっは! 今日は負けませんわよ!」
そしてアミリアさん。
元々入学試験の時にも自前できていたのにほぼ近い、ロングドレスを防具に変えたという感じの装備だ。
そのテンションの高さも相まって、いつも以上に赤く感じる。
「いや、そもそもどういう授業かまだ聞いてないでしょ!?」
「でも、どうせチーム戦がチーム内での打ち合いな気がする」
「まあ、そんな気はしてるけど」
この学園にも慣れてきてボクだってわかりはじめている。
座学がかなりの知識詰め込みの授業だとしたら、実技授業は理論的な基礎とかはもちろん教えてくれるけど、個人に合わせた完全なやって慣れろ形式だってことくらいはわかっている。
そしてそんなやりとりをしていると時間になって先生がやってきた。
「よし、それでは本日は装備の確認と軽い条件つきの模擬戦を行う。各々多少の怪我はつきものとはいえ大怪我には気をつけるように」
やっぱりそうなるのか。軽い条件付きっていうのが気になるけど、それはやるときにわかるだろう。
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