スキンシップ

 改めて学園が始まった。

 学園の制服にもようやく慣れたと思っていたある日のこと。

 朝に先生が数人の大人を連れて教室に入ってくる。

 物々しい雰囲気に一瞬の緊張が教室に走ったが……。


「戦闘や模擬戦・訓練用の装備のための採寸を行う!」


 その言葉を聞いた瞬間に、空気の緊張はゆるくなった。なんだそんなことかと。

 だが、ボクだけは違った。寮に入って二桁の日数が過ぎた今でも、クラスの人の前では脱いだことがない。というよりお風呂の時間をうまい具合にずらし続けてきたというのに、採寸をするんじゃ少なくとも下着にならなければならない可能性がある。

 しかし、先生のいうことと学園のルールには従えずに時間は過ぎていき自分の番がやってきた。

 そもそも制服を作る時の採寸でいいんじゃないかと思うけど、装備毎に誤差が生じることも多いから改めてとらないといけないらしい。

 救いだったのは別教室で二人ずつだったことかな。

 ボクは言われたとおりに一度制服を脱いで下着状態になる。


「じゃあ、手あげて。深呼吸してみて」


 よくわからないけどいわれたとおりにする。もうこうなったら早く終わるように協力していこう。


「…………」


 ちなみに少し距離を開けて隣で採寸してもらっているのはオリエさんだった。

 騒がしいメンバーじゃなくてよかった。

 ただ……なんか視線を感じる。というか、オリエさんがこっちをみている。

 女子が女子の体見て面白いのかな。ボクは恥ずかしいけどそれは見る側としての恥ずかしさと見てはいけないものを見てしまう感覚が合わさってだけど、女子が女子を見るのはどうなんだろう。

 もちろん恥ずかしさはあると思うけど、まずなんで見たくなるんだ。

 なんかイオさんと似た感じがする。

 気にしないように気にしていたら採寸は終わった。なんか考え続けてたから恥ずかしさとかはすくなかったかな。

 そして制服をきて教室に戻ろうとした時だった。


「んっ……」

「うんっ?」


 扉にてをかけた瞬間に後ろから小さく引っ張られて動きを止める。

 オリエさんしか教室にいないのはわかってるから、誰かはわかっているんだけど。

 どうしたんだろう。

 ボクは振り返って確認しようと思った。

 しかし、動きを止めてボクが振り返ろうと考えた時に、お腹部分に抱きつかれた。

 ……抱きつかれてる?

 いや、でもなんだろう。自分でいうのもあれだけど、なんでわざわざ抱きつきにくいお腹に?


「……ずるい」

「ひゅいっ!? ちょっと、オリエさん!!?」

「ほそい……」

「まっ、くすぐっ――」

「うらやましい」

「ストップぅ!」


 ボクはどうにか引き剥がす。

 やばい。今の声ボクからでたのか。なんていう声を出してしまったんだ。

 というか、わざわざお腹に抱きついてたのって細いからなのか。


「ど、どうしたのいきなり」

「さっきみてて細くてずるいと思った」

「……うん。それで?」

「うらやましかったと同時に興味が出た。制服着ている時はお腹は通常ぐらいの印象で、胸ももう少し小さい気がしてたから。胸が着痩せしてお腹が着太りしてる。不思議」


 こんな長く話しているのは初めてだけど、内容がひどいというかこっちも不思議だよ。


「と、とりあえず、いきなり抱きつくのはこうやめてほしいのと。揉むのはやばいと思う」

「ごめんなさい。でも、やわらかかった」

「そりゃ、力入れてないからね」

「そう。力いれるとどうなるの?」

「それは……まって、なにその手」

 掴んでやろうと言わんばかりの構えをしている。

「冗談。でもいつか仲良くなったら」

「その日がくればね」


 仲良くはなりたいけど、スキンシップは男という都合上やりたくないけど、それ以上に体を好きにさせたらいけない人という印象が抜けない限り触らせたくないな……。

 くっ。落ち着いた人だと思ったらこの人も危険人物だった。

 他のクラスメイトもなんか癖強いのは見え隠れしてるし大丈夫かな。

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