体つき

 お店の中をまわり終わると、店の奥に案内される。

 するとファルさんがお茶の用意をしていた。


「少し疲れたでしょ。休憩も大切よ」


 ファルさんにそう言われてしまっては断るのも無粋だよね。

 そして3人で席につくとアミリアさんとファルさんが話はじめた。

 話の速度はどんどん上がっていき、ボクは最初からついていけてない。まあ辛うじてファッションの話ということはわかるんだけど、多分普段からオーダーメイドということもあって細部の話とかしてるのかな。

 楽しそうなので、なんとなくそれを聞き流しつつボーッとしていると、いつの間にか話題が変わっていたらしく。


「やはりスカートでは?」

「そうね。でも、性格的には結構話を聞くと大胆じゃない?」

「それはたしかにあるかもしれませんが女性らしさという点を知ってほしいのですわ」

「どうね……というか病弱だったようにはやっぱりみえないのよね」


 すごく見られている。


「え、えっと、何の話を……」

「いえ、ファルさんに服を見繕ってもらおうと」

「へ?」


 本当にいつの間にそんな事になっていたんだ。


「そうね。女らしさでいうと、外見だと結構華奢なのよね。近づいてみたり普段から人の体を気にしていると、その印象薄いけど」

「それは一体どういう……」

「思ったより筋肉あるわよねってことよ。アタシはほら。病弱なイメージが頭にあったけど初めて見たときにアナタがその人だって知らなかったから受け入れ早かったけど。妹だって言われた後にでてこられたら、イメージよりは元気に見えるかもって」

「あー……」


 筋肉か。全然意識はしていなかったんだよね。ていうかこれでも腕は細くなったかもしれないけど、体は肉つきよくなってる気がするんだけど。

 これでも外見は細い扱いなんだ。


「そうね。ちなみにノアちゃん……って呼ぶと失礼かしら」

「あっ、いえ大丈夫です」

「ノアちゃんの好みの服だとか色だとかってある?」

「色と服……色はまあ落ち着いた色のほうが好きです。服は……」


 スカートは避けたいといいたいけど、さっきアミリアさんが言ってた言葉と今日の服装的におかしくなる気がする。


「特にまだ好みというほど、造形に深くないといいますか。少し疎いもので」

「まあ、療養がどんな風かアタシは詳しいことまで知らないけど、人は少なかったり家にいることも多かっただろうし。そういうこともあるわよね……でも、そうね」


 ファルさんは椅子から立ち上がって、色んな角度からボクを見てくる。


「……よし、ちょっとまってなさい」


 そう言ってファルさんは店内の方に歩いていった。


「あ、わたくしにも選ばせてください!」


 アミリアさんもそれについていった。

 さて、この後の展開はもう予想外ついた……覚悟を決めておこう。

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