第34話 イドンテ

ダオラン王国の都市イドンテ。

スラム街の顔役の屋敷。


牛鬼を先頭に都市へ通じる道へ進むドーマン達。


行方を遮るチンピラを、牛鬼が前足の爪で貫いて行く。


「待て、何処に行──」

ズシュッ!


「化け物! ここは通さな──」

ズシュッ!


バリバリ。


突き刺したチンピラを囓りながら進む牛鬼。


「ちょっと待てぇ!」


横の階段から降りてきた数人の男達。


「右端の男がボスです」

サトリがドーマンに囁く。


「てめえらぁ! ここをどこか分かってて、暴れてんのかぁあああ! あ゛ぁ!」


大声で喚き散らす男に前に牛鬼が近付く。


「モンスター1匹でどうにか出来ると思っとんのかい! 舐めてんじゃねえぞぉ!」


男達は銃を構えて撃つ。


パン!パン!パン!パン!パン!パン!


弾が牛鬼に当たるが、跳ね返る。


「おっ、おい! おいおいおい。危ねぇなぁ」

跳弾が足元にとび跳ねて、足を上げながら飛び退くドンギュー。


跳弾を避けて宙に浮かぶドーマン。

牛鬼に後ろに隠れるサトリ。

いつの間にか、男達の後ろから、ひょっこり顔を出すぬらりひょん。


「くそっ!何て化け物だぁ」

牛鬼の前足の爪が男の身体を貫く。


ドシュッ!

「うがっ」


「ちょっと待ってくれ! 俺はこのシマのボスであるシトウ・キョウチ・カラメだぁ。みんなからはシトウと呼ばれている。貴様らは何故ここに来たぁ! 何が望みだぁ!」


右端の男が敵わない事を覚り、ドーマンに叫ぶ。


「俺はドーマンだ。都市に入るついでに、このシマを貰いに来た」


「はぁ? そんな簡単にシマを手放せるかぁ! とことんやってやろうかぁ!」


「まあまあ、ここは儂に任せなさい」

ぬらりひょんが、シトウ右肩に手を乗せた。


「ん? じいさん、そうは言ってもなぁ」


「まあまあ、思うところもあると思うが、悪いようにはせんぞ」


「じいさんに、そう言れるなら、しょうが無い限りなぁ。任せるか」


いつの間にか、シトウはあっさりと、ぬらりひょんの口車に乗っていた。


「おぬし達も銃はしまいな」


「あ? じいさんに言われれば……」

「うん、取り敢えずしまうか」


男達は銃をしまった。


「ぬらりひょん、後は任せたぞ俺達が戻るまで、スラムを牛耳ってくれ」


「承知しました」


ドーマンは牛鬼とサトリ、ドンギューと共に奥に進む。


奥の扉を開けると、とある部屋に出た。


「ドーマン様、ここはもう都市の中に入ったようです。この建物を出ればイドンテです」


サトリが先頭を歩いていた。

牛鬼は送還していた。


「サトリ、ご苦労」

「はい」


ドーマンはサトリも送還し、ドンギューと一緒に建物から出た。

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