第28話 スラム街の屋敷

牛鬼に生きながら喰われて行く者達を、息を殺して見詰める3人の男達。


ドーマン達を袋小路に誘い込んだ3人の男だ。


ドーマンは男達に振り向いた。


「都市に入る術はあるのだろうな」


「あ、ありますとも! 案内致しますので、どうか命だけは助けてください!」


ドーマンは男達の後ろに目を向けて話し掛けた。


「本当か?」


「本当にあります」


男達はギョッとして振り向くとそこにはサトリがいた。


「げっ、モンスター!」

「いつの間にぃ!」

「ひぃ」


「此奴らはもう用無しだな」

ドーマンはドンギューに言うと、


「承知しました」


ズシャッ!!

「ぎゃああああ」


ドンギューは剣で男の1人を叩き斬った。


「ひぃ、助け──」


ドシュッ!!


男の後ろににひょいと現れたぬらりひょんが、男の背中から匕首を突き刺した。


最後の男はサトリが頭を鷲掴みにして、首筋に噛み付いていた。


ドーマン達はサトリを除いて、召喚した妖怪達を送還すると、サトリの案内で血生臭い袋小路を出て、都市への入る場所へ向かう。


そこはスラム街に似つかわしくない豪華な屋敷だった。


「あの屋敷の奥に都市への入口があります」

ドーマンに説明するサトリ。


「どう見てもスラム街の顔役の屋敷ですよ。本当にあの屋敷の中を通って都市に入るのですか?」


よっぽど行列に並んで都市に入った方が楽だし早いと思っているドンギュー。


実質その通りなのだが、ドーマンは面白そうにニヤニヤしている。


ドーマンの目的はこの世界の街を見る事にあり、当然その中にはスラム街も入っているので、全く問題は無いのだ。


寧ろ暴力を武器に街に巣くう者達の実力を、現場で見れる事は楽しいのだろう。


城壁に密着する様に建てられたその豪華で歪な屋敷は、高い塀に囲まれていて、入口に門があった。


門の前には2人のDQNが股を開いてしゃがんで、タバコを吸って喋っている。


黒を基調とした上下の服には、金や銀の龍や虎が刺繍されている。


此奴らこんな格好で、門の番人としての役割を果たせるのか、甚だ疑問のドンギューだった。


その門に迷わず進むサトリ。


向かって来るサトリとドーマン、ドンギューに気付くが、しゃがんだまま下から睨む男達。


吸っていたタバコを地面で消して口を開く。


「おい! おっさん! 何の用だ」

「何だ? その猿のモンスターは?」


よほど自信があるのか? 単に馬鹿なのか? サトリを見ても動じない2人だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ハルトは窮奇のキュウに乗って、森の奥から都市に向かって飛んでいる。


途中でキュウが探知したモンスターを狩りながら進むのだが、投擲が凄く使い勝手が良い。


ゲイ・ボルグを投擲してモンスターを貫き倒し、そのままゲイ・ボルグに死骸を収納する。


そしてゲイ・ボルグを召喚すると、ゲイ・ボルグが手に戻って来る。


キュウから降りる必要は無く、飛び回りながら次々と討伐出来るのだ。


「これは、楽勝だな」


「飛び降りなくても良いので、効率がいいにゃ」

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