第12話 ダンジョンに逃げ込んだ
命からがら戦場から逃げ出したハルトは、町にたどり着いた。
戦時の厳戒態勢の町では、城門が固く閉ざされている。
ハルトは城門に駆け寄ると、城門の上から門番がハルトを呼び止める。
「それ以上近づくな!兵士の様だな。町に何の用だ」
「この先の戦場でギーベル軍が敗退し逃げてきた。開けてくれ」
「お前1人か?」
「そうだ」
「ふむ、済まないが厳戒態勢中は、門を開けられんのだ。人を入れる事は出来ない」
「くっ、そうか。はぁ、仕方が無い。ギーベル軍は全滅した。ツドイ帝国軍はオーク兵、コボルト兵の他に、ゴーレムに鎧を着けた強力な戦力がいたので、気を付けるんだな」
ハルトは警告を発した後、城門を後にする。
取り敢えず近くの町に逃げ込んで、休みたかったのだが、それが出来ないとなると、行く宛が無くなった。
懐で子猫が「ミィ」とひと鳴きしたので、頭を撫でて歩き出す。
次の町まで歩くか……。
そう思うハルトだった。
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森の中、コボルトに追われるハルト。
「くっ、ここまで追って来やがった」
途中で通過した町を攻める為、ツドイ帝国軍の足止めになると思っていたハルトは、狩りをすれば食料が入手出来る森に入っていた。
森で狩りを行い、戦場を離れる事をあまり考えていなかった事が失敗だった。
ハルトが通り掛かった町は現在籠城しており、帝国軍の魔道ゴーレムの猛攻に晒され耐え凌ぐ事が出来ず、落城も時間の問題であった。
それとは別行動で、コボルト兵の偵察隊が近隣を探索中にハルトを発見していたのだ。
森はコボルト兵の独壇場である。
匂い、音の探知が優れており、素早さに特化したコボルト兵にとって、人間の兵士1人追い詰める事は容易い。
追い込まれたハルトは、目の前の洞窟に逃げ込む。
そこは、ダンジョンだった。
誰も知らない未踏のダンジョン。
ダンジョンの奥に突き進むハルト。
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ギーベル王国王城にある謁見の間は、綺麗に片付けられていた。
王座に座るドーマンと隣には白澤。
一段下にギーベルの貴族と騎士達に替わり妖怪の群れが勢揃いしていた。
先頭には大天狗、九尾の狐、ぬらりひょんと酒呑童子。
その後ろに酒呑童子の配下である茨木童子、星熊童子、熊童子、虎熊童子、金童子。
そして国王、ミワタ宰相、ヤスキ将軍、ヤマツ枢機卿に替わったのっぺらぼう達。
周りには、魑魅魍魎と数々の妖怪が蠢き、ドンギュー将軍は震えながら、周りを見渡す。
「先ずはツドイ帝国軍の殲滅だ!」
ドーマンが王座から立ち上がり叫ぶ。
「おおおおおおお!」
妖怪達の声に揺らぐ謁見の間。
「行くぞ!」
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