第7話 魔道ゴーレム

ドンギュー将軍はドーマンを謁見の間に案内する。


ドンギュー将軍を先頭に王城の廊下を歩く、次にヤマツ枢機卿に化けたのっぺらぼう、ドーマンと白澤はくたくさとり、後ろに式鬼しき2体。


それ以外の妖怪は送還している。


「うわっ!何、あのモンスター!気持ち悪い」

「あれ、誰かしら?」

「きゃあっ!オーガ?」


廊下ですれ違う者は白澤に気味悪がり、ドーマンに不審感を持ち、式鬼をオーガと勘違いする。


謁見の間に入るドーマン達。


跪くドンギュー将軍とのっぺらぼうのヤマツ枢機卿。


ドーマンは、立ったまま周りを見渡す。


一段高いところの王座に座る国王と、その近くにいる貴族達、王座に続くの赤い絨毯の両脇き近衛兵が並ぶ。


「無礼者!」

近衛兵が跪かないドーマンに掴み掛かろうとするが、式鬼が行く手を塞ぐ。


「まあ良い。控えろ!」

国王の命令に不承不承元の位置に戻る近衛兵達。


「何だあの不気味なモンスターは?」

「汚いサルやオーガをこの謁見の間に連れて来おって、何のつもりだ」

「うう、臭い臭い」

ザワザワと騒ぎ出す貴族達。


「静まれ!」

国王の一言で静まる謁見の間。


「ドンギュー、そちの後ろにいる者共が起死回生の手なのか?」

国王はドンギューに問い掛ける。


「はい。勇者召喚の儀により呼び出した、最強の勇者でございます」


「最強? あはははは、その気味悪い牛のモンスターと醜いサル、変なオーガを連れた貧弱で無礼な男が勇者だとぉ?」


国王の隣に立つ宰相ミワタが吐き捨てる。


「はい。この方が最強の勇者ドーマン様にございます」


「馬鹿な事を言うな。そんな貧弱なモンスター如きで帝国を倒せるのか? 相変わらずドン臭いなぁ!がはは」


貴族の中から偉丈夫の軍人が前に出て来た。


「お、お前は、ヤスキ将軍!」

ドンギュー将軍のライバルのヤスキ将軍だ。


「儂が用意した策を見せてやろう!国王様、宜しいでしょうか?」


「面白い。良いぞ、許そう」


「天才魔道錬金術師を紹介しましょう。ケンヤ・ヨイ、出て来い!」


貴族達の間を擦り抜けて現れる痩身の男、ケンヤ・ヨイが、お供に大きな箱を運ばせて登場した。


「私がケンヤ・ヨイで御座います。私がお見せする戦力はこちらです」


長方形の大きな箱の蓋を4人のお供が開けると、中から2m超のロボット?が現れた。


ギー、ガシャン、ギー、ガシャン。


「魔道ゴーレムで御座います」


「おお!凄い!」

「力強く美しい」

「素晴らしい!!!」

湧き上がる歓声。


「ぐぬぬぬ、ヤスキめぇ」

歯軋りをして悔しがるドンギュー。


「がはは。どうだぁ!ドンギュー」

満面の笑みのヤスキ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃ハルトは、近くの町を目指して、走っていた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


町はまだ遠く、周りには誰もいない。


懐に子猫1匹。「みゃー」


小高い丘を駆け上り、1本の木に登り、戦場を見渡す。


ツドイ帝国のオーク兵の後ろから、ロボットが現れた。


「ロボット? な、何で?」


ハルトは転生者だった。

なんのスキルも無かった転生者。


転生者前の記憶が甦る。

ゲームで見たゴーレムの様なロボット達が、ギーベル軍の兵士を蹂躙していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る