第22話 士官学校での生活
セントラムの士官学校は、宇宙を救い、そして消し去る、最強の軍隊の指揮官を育てる機関だ。その規模は施設は巨大なものだったが、収納されている人数は少ないものだった。
宇宙の全ての者たちと戦い、勝ち続ける事が使命になる”判断する者”になれる可能性を持った者は銀河の中でも数が少なかったからだ。
フレイアは無口でクラスメートとも口を開く事はなかった。そして優秀な成績を上げ続ける為に、いじめの対象となっていた。
この学校の生徒は全て、星を壊滅させるほどの力を持っている、そのいじめは天変地異レベル。しかし士官学校は光の神の高い技術で作られており、強力な力でも破壊する事は難しく、被害はいじめを受ける当事者に限られていた。
だいたい、この学校ではいじめは推奨されている、宇宙を敵にまわして戦うのだから、クラスメートのいじめごときで、潰されるなら、士官候補が減って余計な手間が減ると考えていた。
フレイアに行われた、いじめは、通常では傷害事件、いや、殺人未遂といえる程に、酷いものだったが、フレイアは少しも気にしていなかった。
その何事もないような、表情に怒りを持った成績優秀者がついに、直接的な攻撃に出た。
「くくっ、フレイヤ。おまえを殺せば私が、おまえに代わって光の艦隊の七翼を貰うことが出来る」
戦闘用のフォームである巨大なマシンを、架装したクラスメイトがフレイヤを殺そうと迫ってくる。
士官学校は、最高の光の戦士を作り出すスクールだ。学園のルールは一つ。弱者には死を、それだけだった。
戦いを仕掛けて来たクラスメイトは、右手のドリルを廻しながら、素手のフレイヤを見て、勝利を確信する。
そして、勝利をより確かなものにする為に、二十名の仲間でフレイアを囲ませていた。
「まあ、一対一でも十分だが、念には念を入れておいた方がよさそうだ。とくにおまえは危険すぎる」
フレイヤは、既にクラスメートを八十人は殺していた。全て相手からの先制攻撃への反撃だったが、その殺戮数は、学年で断トツの数であった。
「くだらない。始めたら私は手加減出来ない」
二十人もの選び抜かれた戦士候補と、自国で、徹底的に改造した最新サイボーグの身体で、虐殺を繰りかえし、滅亡へと追いやった目の前の者にも、まったくの無関心なシルバグレイの瞳を見せる、フレイアに怒りを露わにするクラスメイト。
「その自信と、表情がムカつくんだ。おまえより強い者はいないと思っている、その表情がな!」
唐突に繰り出された右手のドリルがフレイヤを襲う。すばやく左右に飛び、フレイヤはドリルを避ける。
攻撃をする者も周りを固める二十名も、勝利を確信して、ズタズタにされるフレイアを期待して、笑みを浮かべていた。
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