第21話 セントラムの女王

 荘厳な雰囲気が漂い、巨大な白い塔がそびえている。

 その高さは成層圏にまで達している。 

 銀河の中でもっとも科学が進んだ星。人間の魂さえデジタル化した、光の神の首都セントラル。


「二人の者が十二翼艦隊の、判断する者後方に決定しました。一人は、忠実に作戦を実施し、一人でα星系で最強の光の獣を倒した者。もう一人は宇宙一の演算能力持ち、すでに一万年を生き、自分の星を二度も絶滅させた者です。どちらも光のメサイヤとなる資質があり、個体番号はそれぞれ……」

 巨大な玉座に座る、完全な美と力を備えた、光の神の女王ミストラルが手をあげ、光の獣プロジェクトオペレータの説明を遮った。

「情報はもういい。二人をまじかで見てみてみたい。今ここに連れてこい」


 女王ミストラルの前に、二人は連れ出された。

 一人は、シルバーグレイの瞳を持つ、無表情な獣。女王ミストラルが聞く。

「そなたは、なんの為に戦っている?」

 獣は答える。

「勝つために」

 頷く女王は満足そうだった。

「おまえには名前と心を与えよう。そして”光のメサイヤ”もな。私への絶対的な忠誠を誓え」

 シルバーグレイの瞳は大きく開かれたままだった。

「私の名はフレイヤ」

「そうかそれがお前の名か。フレイヤには今度設立される十二翼の光の艦隊、その七翼を任せよう」


 女王ミストラルは、もう一人の青い瞳の魔女を見た。


「おまえは、なんの為に戦っている?」

 青い瞳の戦士は、女王の問いには答えずに、フレイヤを見ていた。

「おい、おまえ! 女王のご質問にお答えしろ!」

 オペレータが、青い瞳の戦士の態度に驚き注意をする。


 二人を推薦した立場上、無礼な態度が女王の怒りを買い、自分にも罰がくだされるのではないかと怯えてのことだった。

「おまえが星一つ消しても、ロストされないのは、女王のおかげだぞ!」

 青い瞳の魔女は、無表情なフレイヤの頬に、人差し指を突き付けたり、ちょっかいを出して、その反応を喜んでいた。

「この子、おもしろいな」


「いい加減しないか!」近づくオペレータを睨みつけた青い瞳の魔女。

「私が生かされているのは、私が優秀だからでしょ? それ以外に理由など無いはずだよね」


 青い瞳の魔女は女王ミストラルを睨んだ。

「だいたい女王様。あなたは私より優秀なのかな?」

 女王は嬉しそうに笑った。

「ハッハッハ。おまえには第九翼を任せよう。名前は何がいい? もう決めてあるのだろう?」

 青い目の少女は目を輝かせた。

「さっき決めた。この者がフレイヤなら、私はシヴァがいい」

 女王が頷き、青い目の少女の提案を受け入れた。


「火と氷か。わかった。おまえたちは、“判断する者”として、士官学校入校しろ。そこでは自由にすれば良い。厳しい学園生活もおまえたちなら楽しいものだろう。光の十二翼を持つ者は、群れたりはしないものだが、案外、おまえ達二人は縁がありそうだ。」


 女王ミストラルの言葉に、二人は白い神殿を後にした。

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