第18話 神の計画

 ついに人間は魂を完全に、データ化する事に成功した。

 データ化された魂は”エーテル”と呼ばれた。


 永遠の人間となるべく、人には目的別に形、フォームが与えられ、それぞれが専用のスキルを付与された。


 食べることから寝ること、遊びや恋愛にいたるまで、人の生活の全ては、システム化されたプログラムにより、エーテルを介して行われるようになる。繁殖するのに男女の交配は必要なくなり、男と女が共生する意味が無くなった。


 時を同じくして、男と女のエーテルのフォーマットにある、基本的な構造の違いが問題視された。研究の結果、一つのエーテルフォーマットでは、男と女の本能的な部分を、忠実に再現することができないと判明したのだ。


 この時から、エーテルは白(女)と黒(男)の二種類に分けて、管理されるようになる。


 また、エーテル化した社会に起こる問題を、合理的かつ迅速に解決する為に、セントラルと呼ばれる中央管理システムが構築された。


 白いエーテルと黒いエーテルは、互いのデータを必要とせず、直接の交配は絶えた。そして、更なるシステムの合理化の為に、エーテルのフォーマット管理の一元化が検討されるようになり、セントラルは、白と黒、お互いのエーテルを干渉できないエリアへと移動する事を計画。


 女は”光の神”、男は”闇の神”と名乗り、宇宙の両端に、それぞれの新しい国家を創世した。

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