2、姉妹との再会

俺は姉さんと母さんの実家を捨てた。

その理由としては.....姉さんのバツイチの子連れの男性との婚約。

そして俺達の母親の中島香織が亡くなってからの俺と姉さんとのヒビの広がり。

それらが積み重なった事により俺は実家を捨てざるをえなかった。

飛び出したってのが正しいかも知れないが。


だけどそれでいても姉さんは何処に行っても姉さんだ。

俺が出て行くのを分かってなのか.....アパートを用意してくれていた。

俺が一人暮らしする為の、だ。

それから俺はバイトで貯めた金を活かして大学に入学したのだが.....。


でもそれらも全部助けてくれる予定だったのか通帳には入学用か知らないが300万ぐらいの金額が振り込まれており本当に衝撃的だった。

俺はただただ見開く事しか出来ず。

使うのどうかと思ったのでそのお金は結局.....貯めたままだ。

つまり簡単に言えば俺はバイトでの金額で全て賄っているのだ。


俺は住んでいる場所から街へ出た。

そして.....ビル群から少し離れた住宅街の中の坂道を歩く。

それから丘の上。

家の並びの中にその家は有った。

俺が捨てた、母親と別れた親父が建てた実家だ。


「.....久々だな」


「.....そうね。風月は久々だね」


「.....2年ぶりぐらいだな。双子の姉妹に会うのも」


そうして歩いていると。

目の前にTシャツにズボン。

そしてTシャツにスカートという感じの.....女の子が二人立っていた。

長髪の女の子の方が一歩を踏み出してくる。


一人のスカートの女の子の方は茶髪に少し黒がかった髪の毛のロング。

更に言えば大きな瞳ながらも柔和さな目で有って眉毛も細く、お淑やか系の美少女。

俺が2年前に見た限りよりかなり成長している。

そして俺を柔和な目と柔和な顔で見てきている少女。

身長は150センチ上ぐらいか。

これは多分.....妹の希(のぞみ)ちゃんだろう。


そしてもう一人。

Tシャツに首までの髪の毛で。

茶色に黒がかった髪の毛、大きな目ながらも小悪魔の様な目をしていて。

眉毛も妹と同じ様に細い美少女。

そして性格は.....そうだな、はっちゃけていると言って良いかもな。

身長は160センチぐらいで俺をニヤニヤしながら見てきている。

これは.....姉の叶(かなえ)ちゃんだろう。


二人は顔を見合わせてそして俺の元に駆け寄って来る。

それから、お兄ちゃん、と希ちゃんが言った。

そして姉の叶ちゃんは、兄貴、と言う。

顔を見合わせてからお帰りなさい!と俺の手を左右から握る.....オイオイ。


「.....もう。二人とも。風月は疲れているんだから」


「良いじゃ無いですか。柚木さん。私達の兄貴なんですから」


「でも確かに疲れているかも。叶姉さん」


「.....うーんそうなの?そうは見えないけど」


ニヒヒ、と小悪魔の様に笑う叶ちゃん。

俺は苦笑しながら.....二人に向いた。

そして、久々だな、と言う。

二人は嬉しそうに頷いた。


「.....じゃあ早速上がってもらいましょう」


「.....ですね。柚木さん」


「だね。柚木ちゃん」


いや、柚木ちゃん、て。

思いながら叶ちゃんをビックリしながら見る。

しかし相変わらずだな.....2年間で何も変わってない。


思いながら.....溜息を吐きつつ家に案内される。

肌色の外壁の二階建ての家。

そして玄関から中に入ると叶ちゃんが大声を発した。


「パパ!来たよ!兄貴!」


「.....ああ、来たのかい」


眼鏡の柔和な男性がやって来た。

俺を柔和に見てくる。

顔立ちは外国人の様にイケメンだが.....これでも年上だ。

姉さんとは15歳差なので、だ。

そこも.....反対した理由だったが.....。


「遠い所からよく来てくれましたね.....風月さん」


「.....いえ。遠く無いですよそんなに。.....武さん」


少しだけ.....顔を見辛い。

俺は逃げた張本人なのだからな.....。

と思っていると叶ちゃんが俺の腕を引っ張り胸に押し当てた。

ちょ。


「.....お、おい.....」


「兄貴。久々だから一緒に風呂にでも入る?」


「.....ハァ!?!」


だって小学校時代に一緒には入っていたじゃん。

とクスクス笑う、叶ちゃん。

冗談だろ。

今は成長期だぞ.....ハ!


「.....風月くん.....」


「.....武さん。冗談ですって。いや、本当に娘さんの。そんな目をしないで下さい.....怖いです」


これはマズイ。

本気で殺される視線だ。

殺意満々の。

考えながら顔を引き攣らせて居ると素早く俺から叶ちゃんは退いた。

それからニヤニヤする。


「あはは。冗談だよパパ。流石に恥ずかしいかなって」


やっぱりな。

年頃の娘が男とは入ったらおかしいだろ。

思いながら.....頬を掻く。

だがその傍らで希ちゃんは胸を触っていた。

ん?何をしているのだ。


「.....私.....お兄ちゃんとなら.....その一緒に風呂に入っても良いかも.....」


「ちょっ。え!?」


「駄目に決まっているでしょ!風月は男なんだから!希!」


「柚木さん。でもお兄ちゃんだから.....」


モジモジしながら......満更でも無い顔をする希ちゃん。

え?この反応、何かおかしくね?

慌てていると武さんが咳払いをした。

そしてなんとかその場は収まって目の前に皆さんが集まり、改めて俺は歓迎ムードに包まれる。


「お帰りなさい」


「.....!」


「.....風月。お帰り」


姉さんは俺に微笑みを見せて手をゆっくり伸ばしてくる。

俺は少しだけ頬を掻く。

そして.....姉さんの手を取った。

それから若干に笑みを見せる。


「.....ただいま」


と言いながら、だ。

すると、風月も家族、私たちも家族だからね。

といきなり姉さんに思いっきり抱きしめら.....ちょっ!?

希ちゃんが何故か嫉妬の眼差しを向けているが.....姉さん!?


「おっかえり。本当に!」


「止めてくれ姉さん!胸が!ってか希ちゃんが死んで的な目をしている!」


「.....お兄ちゃんの.....馬鹿」


希ちゃんは俺に、ふーんだ、とそっぽを向く。

胸を触れながら、だ。

武さんが眉を顰めて俺を見ている。

俺、巻き込まれ側なんですけど。


でも.....なんだろうな。

こんな幸せは久々だった。

だから長くずっと。

続いて欲しいと.....願わずにはいられなかった。

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