埋められなくてはならない空白(2017/10/06 21:04)
先日、近しい人物が亡くなった。
人の死をネタにしてPVやイイネを稼ぎ、承認欲求を満たすつもりは毛頭ないし、別に同情して欲しいわけでもないのだが、冠婚葬祭という非日常的でありながら誰しもが通り得る通過儀礼的な出来事が身の回りで起こるとやはりこう、色々と思うところも出てくるので、こうやってPCに向かっている。
今回のことについて自分自身の言葉でない、自分でうまく説明出来ないのが大変不本意なのだが、引用したい言葉がある。
「人が一人死ぬというのは、どんな事情があるにせよ大変なことなんだよ。この世界に穴がひとつぽっかり開いてしまうわけだから。それに対して私たちは正しく敬意を払わなくちゃならない。そうしないと穴はうまく塞がらなくなってしまう」
1Q84 BOOK3より安達クミのセリフである。
そしてもうひとつ。
「しょうがないさ。前にも言ったけど、人が一人死んでいくというのは大がかりな作業なんだ。いちばん大変なのはなんといっても本人なんだし、文句はいえない」
騎士団長殺し 第2部遷ろうメタファー編より雨田政彦のセリフである。
それにしても村上春樹好きだな自分。まぁいいや。
悲しいだとか感情的なことは置いておくとして、少なくとも僕が今回感じたことはこの二つのセリフに集約されている気がする。何度も言うが、自分の考えた言葉でないのが大変不本意ではあるが。
時と場所によっては命は軽く扱われ、ときに無残に、ときに顧みられることなく失われていくこともあるのだろう。しかし、少なくとも僕が今生きるこの場所、この時においては人が死ぬということは大がかりで、そして正しく敬意を払われるべきものなのだとつくづく感じたわけだ。
だから仕事上であれ、世間一般のマナー上であれ、今回の祭儀に際し形式上だったとしても、その死に対し敬意を払って頂いた方達には感謝しているし、今後自分もそうあるべきだと強く感じた次第である。
自分にも当然いつか起こりうる出来事なわけだが、それがいつ、どのような形で訪れるのかは分かるはずもなく、その大がかりな作業については非常に恐ろしく感じている。
しかし、その時までは自分なりのやり方で生きていくしかないのだろう。それがたとえ褒められたものでないにしても。
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