叫び声をあげたのは【老牙】のジャレ。彼だった。
彼は必死な形相をし、非常に焦っているのが手に取るように分かった。
「代わりにこの老体の命ひとつで手打には出来ないだろうか?」
「じゃ……れ……」か細い声は彼には届かない。
「ほう、我々としては申し分ない話しですね」
「てめェ!ふざけんじゃねぇよ!コイツの後はお前らなんだよ!」と割り入るのは【焔の魔人】彼女だ。
彼女はその【冥王砲・デュラス】の砲口をすでに彼に向けていた。
「【白氷の冴え】殿、お主は狂人でないとお見受けする。どうか……この老体の命ひとつで見逃してはくれないだろうか!」
「……いいでしょう。貴方の命を貰うこととします」
「おい!ケビルっ!」
「カフラ、彼は『命を差しだす』と言ったのだ。その言動と行為には敬意を見せるが、我ら魔法族礼儀では?それを蔑ろにすれば、我らがアル様は貴様に〝隕鉄の審判〟が降ることになる」
「……勝手にしな」と彼女はため息をひとつ付き、その武器を下ろした。
ドラコには一瞥もなく、その横をスタスタと横切って、【白氷の冴え】はジャレの元へと向かう。
のをドラコはぼんやりと眺めているしかできなかった。
『まただ。また――俺は助けられてしまうのか……』
脳裏に過ぎる、あの日、家族が奴に殺された日のことを……
妹の泣き叫び、助けを求める声――
父さんの命を乞う声――
母さんの冷たくなってゆく背中――
「ッ!!!」
【老牙】の首を
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