【焔の魔人】フレーシャだ。

「そんな本ばっかり読んでるからイイ男にモテないんだぜ?あんたは顔も性格もいいんだからさ。自信持ちなよ!」

「べつに……大きなお世話だよ」と素っ気なく返す。

「アンタもいい歳なんだしさ。今夜でもイイ男、みつけに行こうぜ?」

 彼女はまさに『肉食系女子』の典型的なそれだ。誰にでもふてぶてしい態度でいながも、みんなからの人望も信頼も厚い。

 それに比べて私は『草食系女子』だ。(フレーシャいわくはその中でもかなりの奥手らしい……)

 だから彼女とは意見も合わないことは多い。でも、嫌いじゃない。

 胸を張って彼女のことは〝友だち〟だと言える。

 彼女のように『なりたい』や『なろう』と思ったことはないが、皆との談笑や乾杯に沸く、彼女の様子をはたから眺めていて『羨ましい』と思う時があるのも事実だ。


「私は……いい」


 と返事をして彼女の視線はまた本へと戻っていた。

 そんな彼女の隣りに腰を下ろしたフレーシャは黙々と本のページをめくりに勤しむ彼女へ声を掛ける。

「なあ、アルマ?」その声にいつもの彼女らしい豪快さも、荒々しさもなく。ただただ神妙さだけがあった。

「なに?どうしたの?」

 いつもとはあからさまに違った様子の彼女を見る【暴風の巨人】アルマ。

 彼女へ向けた視線に飛び込んできたのは、いつにもまして弱気な彼女の顔だった。

 フレーシャは正直に言う。「私、知ってるんだ。アンタがその本を読む時はいつも『怖がってる』時だってこと……」

「!?」すこし目を見開く。

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武術と魔法 強いのはどちらですかね? だんて・らいおん @dante_lion

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