『竜様の転生者』とか『救世主だ!』とか
好き勝手ながらの主張をしてくるものだ。
特に――【竜眼】の異名を持つ俺は〝両目〟にこれを発症したから、耳にタコができるほどガキの頃から言われて来た。
両親からも、村の人たち、武術軍に、ジャレと、それは数え切れない人々に……
そして俺からの回答は――『ふざけんな!』だ。
たかが疾患にそこまで期待する彼らの能天気さには、時折り羨むところもあるが、大抵は怒鳴り散らして抗ってきた。
『それでこの戦争が終わるなら苦労しない!』ってな?
きっと、〝彼も〟そうだろう。
なんて考えが浮かぶと、妙な気概に陥る。
多少なりにも親近感と言うものが生まれてくるのだ。
「どうかされたのか?【竜眼】のドラコ……」
気が付けば、ぼんやりとしてしまっていたらしい。竜の騎士の彼が怪訝そうに、仮面をつけるその顔が傾いていた。
「あっ!い、いえ、なんでも……ただ緊張していただけ……です」
「して聞くが……心は決まったか?」
「……はい」とドラコは頷いた。
「よかろう。では、〝我らが王〟はすでに玉座にてお待ちだ。来い!」
騎士は踵をかえし、部屋の奥へと進んでいった。
ドラコも彼の背について歩いていこうとしたが――
「レニクスは来ないのか?」
【竜の剛腕】レニクスがその場で足を止めたままなことに気が付き、声を掛けたのだ。
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