外れた大剣の飛ぶ先には――

【暴風の巨人】が居た。

 自滅するかに思えたが、それは詭弁と言う者だ。

 アレを操るのは〝風〟で

 風を操るは〝彼女〟なのだ。


 彼女は微動だにすることなく、神具【巨人の大剣・アーサー王】の切っ先は彼女の胸から一寸先で停止し、彼女の傍らに戻る。

 からの――

「ッ!!」

 歯をぎりっ!と噛みしめ、力強くこの義手を振るえば風もそれに呼応して力強く吹き荒れる風、その風に運ばれて荒々しく振るわれる大剣・アーサー王。


「踏み込みが甘いッ!!」

 と、怒号とどろかせ【老牙】のジャレはこの棍棒にて渾身の一撃を大剣がその刃と交差させる。彼の踏みこん地面は砕け、亀裂が走る。


「!!!」

『だめ…弾かれる!!』


 火を見るよりも明らか。とはこの事か…

 交わり、激しく火花散らす大剣と棍棒。しかし、完全に押し負けている。

 刃に纏う風の力が弱まってゆく…

「ふんッ!」

 ジャレが完全に腕を振り切る。剣は宙高くへと弾かれ、そこの民家の二階の壁に深く突き刺さっている。


「……」

 あそこからこの手元に戻すには時間が――

 と、突きつけられる棍棒の先端。

「ここまでじゃ…」

 その棍棒の先端は〝風〟を纏っている。

「……〝赤灰石せきはいせき〟」

「貴様らの特産品じゃろ?武人たる敬意をもってして、貴様自身の魔法と、我らが〝武〟で、叩き殺してやろう…」

「するなら、早くして……」

「潔し!さらばだッ!」

 

 ジャレは――棍棒を彼女の頭上に叩き込む。


 礼儀をもって、力加減の一切はなく。 

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