「大丈夫か?ドラコ」

「ああ、大した事ないさ。それにしても……厄介な追手だよ。まったく……」

 と、ため息がこぼれる。

「そうだな……【ほむらの魔人】に【暴風の巨人】とはな……」

「どうした?これから死にゆく者同士で遺言の伝え合いでもしてんのか?」

「ふざけんな!これから死ぬのはてめえら!この――クソ〝魔法族〟共め!」

「言いやがったな!?てめぇえらこそ!糞野蛮〝武術族〟だろうがっ!私たちの神聖なる領地を犯しておいて……『はい。さよなら』と行かせるかよ?」


 〝魔法族と武術族〟

 魔法族とは。

 名の通り、魔法を使役する者である。自然を流れる風に、火、そして氷の三元素を主とする魔法を使うが、その身体は虚弱だ。

 武術族とは。

 また名の通りである。強靭なカラダを授かる者だ。しかしその身に魔法を体得することはない。


 ――〝ゆえに彼らは互いを妬み、恨みあい、この戦争は始まった〟――

 ――〝そして終わりは来ない〟――

 ――〝数百年も続いてきた〟――

 ――〝誰かが言った〟――


 ――〝戦争は経済だ〟と。〝戦争は生活だから、終わりはこない〟とも――

 ――〝戦争なんて、キライだ〟――

 ――〝そう叫んでも終わらない。終わらせられないんだ〟――


 ――〝だって戦争は、【経済】なのだから〟――


 フレーシャがその右手に火は集まり、それは大きくなる。

 その炎塊ほのおのかたまりをこちらに投げつける。ではなく……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る