烈しい爆風がふたりの距離をひきさく。

「まったく……しつけぇぞ!お前ら!」

「人の敷地内に入っておいて『はい。そうですか』なんて帰す訳……ねェだろうがよ!!【竜眼】さんよぉお!?」

 怒りのままに、この眼前の敵にむけて火球を放つ。まさにその刹那。またしても死角からの急襲に見舞われるフレーシャ。

 

 現れたのは――


 棍棒に連結させたヌンチャクでフレーシャの手の上の火球をはたき落とすように弾き飛ばし、続けざまその顎を砕きに振るう。


「ちッ!」

 顎に向かってくる棍棒の先端がみえる。

 フレーシャにここからの回避方法は……ない!

 と、その隣りで沈黙していたこの小柄な少女が全身を覆うマントの下から腕を上げて出す。その腕もまた銀色に装甲輝く義手だ。


 手の向ける先に、棍棒使いの男――【老牙】のジャレ――が居る。

 この少女の手から放たれたのは火球ではなく――


「ぬ!?」ジャレは上を見あげる。のと同時に退く。

 〝それ〟は何もなかったはずの暗澹たる雨雲に覆われた夜空から落ちてきた。


 人が振るうには余りにも〝巨大な大剣〟が――


「っぶねぇ……ありがとうな!助かったぜ、〝アルマ〟?」

「お礼は後でしていいから、今は集中して」と冷たい口調と態度。

「へいへい……」

 

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