【竜眼】のドラコ!!

 ジャレの厳しく張り上げた呼び声に〝はっ!〟と驚き顔をうかべる【竜眼】のドラコ。

 ジャレはため息まじりに「王から授かりし〝【異名】〟持ちがしっかりせんと、我らが王が悲しむぞ?」

「好きで授かったのでも、『欲しい欲しい♪』と言った記憶もないんだが?」

「真面目に考えんか!屁理屈を言うだけの元気は有り余っているようなだ……まったく……」と大きなため息をもらす。

「その気力も無くなった時は――――」


 〝俺の死ぬ時だな〟とドラコはニヤリと自信満々な笑みをうかべては、ジャレはまたため息とともに肩を落とす。


「にしても、奴らまで待ち伏せとはな……〝【異名】持ち〟なら正面から来い!ってんだ!でなきゃ、これだけの被害にはならずに済んだ」

「卑怯こそ策略なり。と言う諺もあるほどだ。気付くのに遅れたわしらにもその責はある……」


【異名】とは……

 戦場において大いなる功績を上げた兵士に送られる称号のこと。言うなれば、〝勲章〟だ。その名を授けられた者が一人でも戦場に現れようものならば、『敵は慄き、蜘蛛の子散らすが如く退く』と言われている。

 俺は【竜眼】の異名を王から授けられたが、その言葉どおりになったことはない。

 が、この【異名】を持つ者の〝実力〟だけはホンモノだ。

 当然!〝俺を筆頭に〟だがな?

 

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