第151話 母親が……

 ※。.:*:・'°☆※。.:*:・'°☆




 容赦なく夏の日差しが降り注いでいる。


 ようやく長かった梅雨が明け、今日は快晴だ。


 抜けるような青い空が広がっていた。


 気温はグングン上がっていき、この夏一番の暑さだ。


 目の回るような酷暑だ。

 じっとしていても汗が滲んでくる。


 熱中症に注意しないといけない。



 僕はロリータを連れて『平成霊園』へ来ていた。

 母親のお墓参りだ。


 僕はバッグからスポーツドリンクのペットボトルを出してロリータに差し出した。



「ほら、熱中症になるから飲んでおけよ」

 冷凍庫で凍らせておいたので、まだ冷たい。


「うン……✨😌✨✨」ゴクゴクと美味しそうに飲んだ。

 



 四方から聞こえるセミの声が耳をわずらわせる。

 階段を昇り、右へ曲がると墓石が5つほど並んでいた。



「お兄ちゃん…… ここは」

 ロリータは、少し不安な表情で僕を見上げた。


 純白のワンピースに、大きな女優帽をかぶっていた。


 セレブなお嬢様のような格好だ。


 よく似合っている。


 この日のために僕がロリータに買ってあげたモノだ。



「ここは……」

 おもむろに僕たちは、ひとつの墓石の前に立った。




「僕の…… お母さんが眠っているンだ」

 墓石には『岬家乃墓』と刻まれてあった。



「えェ…… お母さんが」

 





∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る