第34話 ビショビショに濡れた

 早々に、祖父ジーちゃんとの通話を切った。



「ッたく……」信じられない……。

 祖父ジーさんも来年には80歳だ。



 如月アリスと結婚するのかは怪しいが、あの高齢トシで婚約だなんて、まだまだ下半身は現役バリバリのようだ。



 祖母バーちゃんが亡くなって10年は経つので、祖父ジーちゃんが気に入った彼女と再婚するのに異論はない。

 



 暇なのでリビングのテレビをつけ、録画しておいたあいみょんのライブの『マリーゴールド』を映した。



 何度、聞いても心に沁みるラブバラードだ。

 ノスタルジックなメロディと詞に疲れた心が洗われるようだ。

 清々すがすがしい気持ちになる。



 ソファにうつ伏せで寝転がって、あいみょんのライブを観ていると突然、バスルームの方が騒がしくなった。



『キャッキャッキャァ~~~ーーッ😆🎶✨

 お兄ちゃん✨🎶✨ お兄ちゃん✨🎶✨

 お兄ちゃァ~~ん✨😆🎶✨』

 ドタバタと、こっちへ向かって走ってくる音が響いた。



「ン……😒💦💦💦」

 どうやらロリータが風呂から上がったようだ。


 せっかく静かに音楽を聞いていたのに騒がしい限りだ。



「お兄ちゃァ~~~ーーん✨😆🎶✨」



「ン……」振り向くと、ロリータがリビングへ駆け込んできた。



 ビショビショに濡れた身体に、真っ白なタオルを一枚、巻いただけの姿だ。



「なァ~……😲💦💦💦」



「キャァ~……ッ❗❗❗

 お兄ちゃァ~~~ーーん✨😆🎶✨」

 助走をつけ、そのままピョーンと宙に舞った。


 両手を横に広げ空へ羽ばたくような格好だ。


 背中に羽根が有ればそのまま翔べるだろう。

 だが、あいにく背中に羽根など着いているはずはない。


 もちろん重力には逆らえず、僕の背中へ落下してきた。


「わ、わ、わァ~~~ーー😲💦💦💦」



「キャァ~~~ーッ😆🎶✨」

 ロリータは、悲鳴を上げて僕の背中へ落ちた。



 ビッタァー~~ーン❗❗






 ※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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