第48話 七月少女

「やばい!? あと7000字しかないのに、なんも決まっていない!?」

 そろそろ本格的に焦ってくる真理亜。

「ファンタジーに逃げるか!? それとも短編集にしてしまうか!?」

「逃げるが勝ちってやつね。」

 妹の楓も心配している。

「夢を見つけたり、夢を叶えるって大変ね。」

「産みの苦しみっていうやつです。」

「夢は見るだけがいいな。寝ているだけでいいだもの。アハッ!」

 だから人間は他人に従って楽に生きることを選ぶのかもしれない。

「何も思いつかなければ実写ドラマは諦めて、ファンタジーに逃げるか。」

 ここで書く間を開けよう。何かアイデアの神が舞い落ちるかもしれない。

「はあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ここでファンタジーに逃げてしまおうとする私にアイデアの神が逆転のまた逆転の発想を与えてくれる。

「七月・・・・・・文月・・・・・・ジュライ・・・・・・ルビー・・・・・・星座は1日を基準にしよう。かに座か、キャンサーだな。おまけに七夕と。」

 何か点と点が線で繋がった真理亜。

「この材料で複数の人間を作るのではない。この豊富な材料を融合させて、一人の優秀なキャラクターを創作するのだ!」

「恐ろしい!? 真理亜お姉ちゃん脅威のメカニズム!?」

 こうして新しいキャラクターというのはミキサーもに入れられてミンチにされて、粉々になった所を形成してハンバーグを作る。

「新しい少女の名前は・・・・・・七月文月だ!」

「七月文月!?」

 見事に月被りだ。

「これで現代ドラマ用の女子高生、七月文月はOK。さらに過去の世界に行ったとして、名字を取って文月で良し。二つクリア。」

「スゴイ!? おバカなお姉ちゃんが二段構えの作戦を考えるなんて!?」

「物語とは先の先まで考えるのだよ。」

「さらに! 異世界ネームはジュライ!」

「昔のマンスリーナイトをそのままですな。」

「あの時はキャラ不足で男女に分けたのが間違いだった。正解かもしれないけど。」

 ここで迷いが生じる。

「やはりジュライ、かに座、キャンサー、ルビー・・・・・・。異世界ネームが七月文月は異世界ネームが、ルビーにしよう。リボンの騎士のサファイアみたいだ。必殺技は、七夕サラサラ! にしとこう。」

 結局、七月のウキペディアを見て資料集めが早い。

「渋井谷子の奇跡に異世界ファンタジーを加えたのと似てきたな。」

 結局、作者が一緒なので、余程の精神の崩壊でもない限りテイストは変わらない。もし変わるとすれば既に売られている本を、そのままパクって文字にして投稿して発表するぐらいだろう。

「おはよう! アハッ!」

 ここで火をまたぐ。

「鋼の錬金術師で有名になった七つの大罪。七つの悪魔。リゼロや七つの大罪とかでも使用。誰でも使用OKなのだろう。」

 あえての前説。

「主役の少女名前を七月文月とした場合。ジュライは異世界ファンタジーの男? ルビーはアイテムなり力なり主人公の異世界ファンタジーネーム? かに座のキャンサーは・・・・・・敵にしてしまおう。」

 なんでもありだな。

「干支もあったな。七月は申か・・・・・・申月。これは現代版の七月の男キャラクターに使えそうな気がする。」

 更に見つける。

「異名なるものを発見。女郎花月と書いて、おみなえしづき。これも七月らしい。一番カッコいいのが七夜月(ななよづき)。これを名字にするか? それとも必殺技の方が良いのだろうか? それかクラスメイト、名字無しのやつ。七月軍団だな。」

 あれ? 何か嫌な予感がする。

「誕生石、星座だけでなく、誕生花なんかもあるらしい。七月の花は蓮らしい。」

 あ、分かった。

「今、七月について調べているけど、この物語を投稿する時は、8月だー!」

 大変なことに気づいてしまった。

「なぜだろう? それだけで一年後に再会する七月のことが恋しく思えてくる。」

 不思議なもので。

「さあ、気持ちを切り替えて8月を考えよう。8月の物語の主人公の名前は、八月葉月。オーガスト。しし座。レオ。サードニクスに、ペリドット。ヒマワリ。酉月。月見月など。」

 ここまでくると、七月の置き換えバージョンなので簡単である。

「問題なのは、この壮大な物語の核を何にするかが決まっていないということ。」

 大問題だ。

「基本は、じんわり、ほっこりで決まり。ということはファイナルファンタジー的な物語を書けばいいということか?」

 意外に簡単に核心に迫る。

「それを現代と異世界と過去で成し遂げれば良いということか?」

 しかし、ここで問題が発生する。

「ということは、構想を練ったのは7月なのに、8月スタート。一年間出てこれない七月文月はどういう心境になるかしら?」

「きっと捻くれるわね。出番が一年ないことや、本当は自分スタートと思っていて裏切られた。心が闇に飲まれて悪役になってもおかしくないわね。」

「こうやって普通にいじめとか暴力を振るう奴が生まれてくるんだろうな。親とか教師とか友達とかに裏切られて、前向きな心が腐ってしまうから。」

 こうして7月は悪役にされてしまうのだった。

 つづく。

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