第47話 エモいぜ!

「擬人化の走りは、らんま二分の一のピーちゃんか?」

 真理亜の独り言である。

「何を言っているの? お姉ちゃん。」

 独り言を言う姉をぼけ老人の様に怪しい目で見る妹の楓。

「擬人化の師匠を探しているのよ。」

「それなら簡単よ。まちゃあき先生の西遊記の孫悟空が正解よ。それにドラゴンボールの孫悟空の名前も西遊記の孫悟空そのままパクリネームなんだから。」

「知らなかった!? そうだったのか!? ということは、私の彼氏の名前に孫悟空という名前をつけても許されるということですね!?」

「その通り。ダメならドラゴンボールの孫悟空も改名しないとダメよね。十分、西遊記の孫悟空で検索して、ドラゴンボールの孫悟空も出てくるんだから。パクリの恩恵を受けまくってるわ。」

「そうか! ドラゴンボール自体が、西遊記の二次創作!? パクリだったのか!?」

 真実にたどり着いてしまう。

「でも!? なぜ!? 西遊記のパクリなのに、ドラゴンボールは批判をされなかった!?」

「それは西遊記は部隊が中国。ドラゴンボールはポイポイカプセルもある未来の世界だからかしら!?」

「待て待て待て!? それでは時代劇のるろうに剣心を未来版でパクって二次創作すれば、自分だけのオリジナルストーリーにしてもいいってことか!?」

「その通り。例えるなら、ウイングマンのドリーム・ノート。これがデス・ノートのパクリ・二次創作よ。もっといえば進撃の巨人などはドラクエの巨人やギガンテス、動く石造と戦っているワンシーンにしか過ぎない!」

「ということは、一歩間違っていれば、進撃の大ナメクジでもありだったんですね!?」

「イエス! 高須クリニック!」

 ほんまかいな? と思わず突っ込みたくなる仮設のオンパレードである。

「決めた! 私、犬を飼う。」

「どんな犬を飼うの?」

「ハチ公。」

「そのまんまかい!?」

「いいじゃない! ドラゴンボールだって西遊記の孫悟空そのままだし。」

 そのための長いパクリ二次創作のフリである。

「エモいぜ! ハチ公!」

「確かにユーチューブでも子供とペットは全世界共通で受けるツールだわ。」

 こうして真理亜はハチ公を買うことにした。

「ハチ公はペットではない! 私の彼氏だ!」

「彼氏!?」

 ハチ公はペットではなく、真理亜の彼氏なのだ。

「どうだ? ほっこりとじんわりの臭いがしてきただろう。」

「確かに忠犬ハチ公といえば、ハリウッドでも映画になるくらい、じんわりとした感動作!? まさか、それを持ってくるなんて!?」

「悪いが渋谷の駅前のハチ公に著作権はないだろうからな! 私が自由に創作しても良いのだ! アハッ!」

「さすがお姉ちゃん!? 悪知恵だけは良く回る!?」

 そういう時だけはおバカではない真理亜。

「ワン!」

「あの石造なんですけど。」

 そして真理亜の彼氏のハチ公は渋谷駅の前で石造になっていた。

「だってお母さんがお家で犬は飼ってはいけませんって言うんだもの。」

 母、ひばりは犬が苦手だった。

「でも、いいの。この石造のハチ公が擬人化して私に愛に来たり、私が電車にのってお出かけすると、帰って来るのをじっと待っていてくれるの! ああ~! 愛されている! 私!」

 自作自演の演出にじんわりする真理亜。

「でも、なぜか、人間には愛されないのよね。」

「おバカだからよ。」

「アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「でもハチ公の石造からイケメンが現れて、女子高生と恋愛する。素敵~! また渋谷に多くの女子高生が集まってしまうわ。アハッ!」

 そして悪いスカウトに引っかかり、キャバクラ、風俗、AV女優になって行く現実。

「でも石造がイケメンになる、で終えなければ、実写ドラマ化が遠のいていく。剣に魔法はダメ。化学兵器も戦争しちゃうから使用禁止。どうすればいい。」

 直ぐに戦闘ばかり。ドラクエの影響かな?

「剣と魔法、化学兵器がダメなら、それを置き換えて・・・・・・現代人は、言葉で戦う!」

「だから、それが結局は医師、弁護士、警察、探偵モノとかなのよ。」

「アハッ!」

 現代の商品化される作品を見ていると、私のたどり着いた結論にたどり着いている。

「打つ手なし!」

 投了しました。

「話はほとんどパクリ二次創作で同じ。後は出演する役者さん、声優さんを変えるぐらいか。その人のファンの数で売り上げが変わるくらい。」

 八方塞がり。

「設定を変える? 逆説か? 既定の思い込みを勘違いさせて・・・・・・はあっ!?」

 何かを思いつく真理亜。

「ほっこりを何か良いことをして心が温まるではなく、何か悪いことをしてほっこりさせればいいんだ! そうすれば天使が悪いことをして、悪魔が良いことをするに該当して面白いかもしれない。」

 軽く書いてみよう。

「おい! 金出せや!」

 軽くカツアゲをしてみた。

「儲かったぜ! ほっこりするな! アハッ!」

 見方を変えればこれもホッコリ。

「お世話になります。じんわり・・・・・・。」

 強奪の現行犯として警察に逮捕される。

「クソッ!? 必ず刑務所から出て、復讐してやる!」

 この感情にほっこりとじんわりはない。

「シャバの空気だ! やっと出れた! 長い! 長かった! じんわりするぜ!」

 刑務所から出てじんわり。

「問題は、この刑務所を出た後の人生の過ごし方ね。」

 ほっこりとじんわりには色々な種類や場面がある。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る