第38話 また、いつか少女

「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 〇〇少女ワールドは大金の賞金が出る戦略シュミレーション・オンラインゲームです。

「天下布武じゃ! お友達になろうよ! アハッ!」

 姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 良く出来た妹の楓の物語。


「死ね! 真理亜ちゃん! これが私の100年の恨みだ! ハイパーメガ粒子恨みビーム!」

「くらえ! 明治天皇少女! 神々しい天照の輝きを! 真理亜ちゃん太陽光線!」

 両者の放つビームは中間点でぶつかり合い光を放ちあう。

「互角か!? 見たか! 私でも神と十分に戦えるのだ!」

「それはどうかな?」

「なに!?」

「見せてやろう。天照大神最大の奥義を!」

「天照大神最大の奥義!?」

 真理亜が最大奥義を放つための準備に入る。

「くらえ! 明治天子ちゃん! これが天照大神最大の奥義!」

「来る!?」

「タイキックだ!」

 真理亜はお得意のタイキックを放つ。

「え?」

 全然、天照が関係なかったので不意を突かれる明治天皇少女。

「ギャアアアアアアー!? アベシー!?」

 タイキックを受けて吹き飛ばされる明治天皇少女。

「勝ったー! アハッ!」

 正規の頂上決戦は真理亜の勝利に終わった。

「あ、流れ星。」

 その時、空を見上げた少女たちは流れ星を見た。

「あれ、真理亜お姉ちゃんよ。まったく、いつまでタイキックを続けるのかしら。おかげで前に進めないわ。」

 愚痴をぼやく小学一年生の妹の楓。

「そういえば、真理亜ちゃんと明治天皇少女が戦っている時に、みんなでお友達パワーを送るとか、「真理亜ちゃん! がんばって!」とか、みんなの心を一つにして声援するシーンがなかったね?」

「そこまでのシーンじゃなかったってことよ。あれ? それとも、これからみんなの心を一つにして倒す展開が来るかしら?」

「でも、みんなの心を一つにして倒す敵っていったら、真理亜ちゃんしかいないと思うんだけど。」

「ラスボス! 真理亜お姉ちゃん! それ、いただき! アハッ!」

 まさか自分が戦っている時に、こんな話が行われているとは思わない真理亜。

「クシュン! 誰かが正義のヒロインの私の噂話をしているな。なんて罪な私なんだ。アハッ!」

 自画自賛で能天気な真理亜であった。

「こ、殺せ! 敗者に生きる資格なしだ!」

「歯医者? 私、歯医者は嫌いだな。ガリガリっと怖いんだもの。」

「それは歯医者。」

「アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「敗者なんていないんだよ。」

「え?」

「だって、私たちはお友達なんだから。」

「真理亜ちゃん。」

「アハッ!」

 明治天皇少女に笑顔で手を差し伸べる真理亜。

「そうだね。私たちはお友達だね。」

 その手を笑顔で掴む明治天皇少女。

「明治天子ちゃんの100年の恨みを浄化するためにも、私の別荘の天の岩戸を貸してあげよう。」

「天の岩戸?」

「きっと、今度、目座目覚める時は純粋なきれいな心になっているよ。」

「ありがとう。真理亜ちゃん。」

「その時は、私とお友達だからね。一緒に遊ぼうね。」

「うん。真理亜ちゃんが困っていたら、私が真理亜ちゃんを助けるよ。だって私たちはお友達だから。」

「お友達! 最高! アハッ!」

 こうして呪われた天皇、明治天皇少女は天の岩戸でバカンスすることになった。

「これですべて終わったな。疲れた。今日のご飯は何かな~。アハッ!」

 こうして渋谷区渋谷に平和が訪れた。

「ピク・・・・・・ピク・・・・・・。」

 魔法少女アリアは瀕死の重傷で明治神宮の砂利道で寝転がっていた。

「出して!? ここから出して!? 暗いよ!? 狭いよ!? 怖いよ!?」

 宝物庫には真理亜の代わりに封印された神園町子が閉じ込められていた。

「なんか忘れている様な? まあ、いいか。お腹が空いたし帰ろっと。アハッ!」

 帰宅を急ぐ真理亜であった。

「天下布武です!」

 姉の真理亜の代わりに勝利インタビューを開く妹の楓。

「おお! えいえいおー! えいえいおー!」

 今回の渋谷区統一戦は渋谷区渋谷の勝利。

「これも、みなさんのおかげです。私一人の力では何もできませんでした。なんせ小学一年生なものなので。アハッ!」

 謙虚な楓のヒーローインタビューがつづく。

「やっぱり楓は胡散臭いよな~。絶対あのクソガキ、心の中では思ってないぜ!」

 自宅に帰りご飯のラーメンをすすりながら文句をテレビに言っている真理亜。

「仕方がないでしょ。本当のことを言ったら、みんなが引いちゃうんだから。こういう時は、ファンのみなさんの声援が力になり勝つことが出来ましたって言わないといけないのよ。給料が減らされちゃうから。」

「そうなんだ!? 怖い!? 何て怖いんだ!? 大人の事情!? 幼気な子供たちの夢を食い物にしてプロ化してお金儲けするオッサンばかりだな!?」

「いいから、さっさとラーメンを食べないと麺が伸びるわよ。」

「食うべし! 食うべし! 急いで食うべし!」

 母のひばりは真理亜が反論できないように言いくるめる。

「それにしても何か忘れている様な?」

 まだ思い出せない真理亜。

「ピク・・・・・・ピク・・・・・・・もうダメだ。」

 バタっと倒れる明治神宮に置き去りのアリアは危篤した。

「暗いよ!? 狭いよ!? 怖いよ!? ここから出して!?」

 神園町子は封印されたまま。

「あっ!? 思い出した!?」

 何かに気づいた真理亜。

「お母さん! このラーメン! メンマが入ってないよ!?」

「買い忘れたの。アハッ!」

「なんだ、買い忘れか。それなら仕方がない。アハッ!」

 真理亜がおバカなのは母親の遺伝かもしれない。

「アハッ!」

「アハッ!」

 仲良し親子で会った。

 つづく。

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