第36話 永遠のお隣さん少女

「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 〇〇少女ワールドは大金の賞金が出る戦略シュミレーション・オンラインゲームです。

「天下布武じゃ! お友達になろうよ! アハッ!」

 姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 良く出来た妹の楓の物語。


「ここは・・・・・・どこ?」

 宝物庫の外に出た真理亜。

「私は誰?」

 なんと神園町子に殴られ過ぎて、一種の記憶喪失になっていた。

「痛い!? 頭が痛い!?」

 それは殴られ過ぎたからである。

「わ、私は何をすればいいんだ? 私は何処へ行けばいいんだ?」

 あてもなく真理亜は自分の居場所を見つけるために歩き始めた。

「ワッハッハー! この世は私のものだ!」

 明治天皇少女は更なる攻撃を繰り返していた。

「うわあああああー!?」

「退避!? 退避!?」

「後退しろ! 何が何でも生き延びるんだ!?」

 渋谷区渋谷、元代々木軍の渋谷区少女連合軍は、決死の特攻隊も一瞬で倒されて、最終防衛ラインの、北は本町、幡ヶ谷、笹塚。南は恵比寿、広尾まで後退を余儀なくされていた。

「クッ!? こんな時にお姉ちゃんがいてくれれば!?」

 妹の楓は消息不明の姉の真理亜を心配していた。

「こうなったら私が行こう。」

「アリアちゃん!?」

 魔法少女アリアが長い眠りから目覚めた。

「ダメよ!? さすがのアリアちゃんもあんな化け物が相手では危ないわ!?」

「大丈夫。みんなが時間を稼いでくれたおかげで私の魔法力も回復したしね。それに私が出ていけば、真理亜ちゃんも現れるだろうからね。」

 真理亜とアリアは永遠のお隣さん。永遠のお隣さんは強い友情と絆で結ばれているのだ。

「行ってきます。」

「ご武運を。」

 こうしてアリアは最終決戦のために飛び立った。

「んん? 何か米粒が飛んでくるな。」

 明治天皇少女はアリアが飛んでくるのを感じ取った。

「待たせたな。破壊者。」

 アリアが明治天皇少女の前に現れた。

「破壊者? 私は解放者ですよ。あなた、失礼なことを言いますね。初対面の人に悪い言葉は使ってはいけないと親御さんに教わらなかったんですか?」

「教わってない。」

 それもそのはず。アリアの親は世界的有名なマジシャンで世界を遠征中である。そのためお隣の真理亜の家で育てられた。

「あらら? 子がダメなのは親の教育が悪かったということでしょうか? ホッホッホ。」

 親をバカにされたアリアが怒る。

「私はおまえが嫌いだ。」

「それはどうも。私もおまえのことが大っ嫌いだ。」

 ここに明治天皇少女と魔法少女の戦いが始まる。

「私の名前はアリア。お前の名前は?」

「私? そうですね。私の名前は・・・・・・明治天子とでもしておきましょう。」

「明治天子!? クスッ。」

「笑ったな!? 人の名前を聞いて笑いやがったな!? おまえみたいな酷い奴は

奴は初めてだ!?」

 激高する明治天皇少女。

「そりゃあどうも。安心しろ。今から燃やして消し去ってやるからな!」

 アリアは魔法の詠唱に入る。

「我! 魔法少女アリアの名において命じる! アルティメット・ファイアー!」

 究極の炎を放つアリア。

「ギャアアアアアアー!?」

「やったか!?」

 明治天皇少女に炎は命中した。

「なんちゃって。クスッ。」

「なに!?」

 かに見えたが、炎は明治天皇少女を通り抜けた。

「残念。私はいわば神。神以下の攻撃は受け付けません。」

 明治天皇少女は封印されていた間に恨みのエネルギーを神レベルまで高めてチャージしたのだった。

「卑怯者!?」

「卑怯? 名前は聞かれましたが、私の能力については聞かれなかったので。ワッハッハー!」

 余裕の高笑いをする明治天皇少女。

「さあ、攻守交替の時間ですよ。今度は私が攻撃して、あなたが守る番です。どこまで持ちこたえられるやら。」

 地獄の始まりだった。

「丘を越え行こうよ! 口笛を吹いて!」

 記憶喪失の真理亜は明治神宮を歩いていた。

「砂利道から脱出できない!?」

 そして拾い敷地内をグルグルと迷子になっていた。

「ギャアアアアアアー!?」

 空から何かが降って来る。

「鳥だ!? 飛行機だ!? アリアちゃんだ!?」

 咄嗟にアリアの名前を口にする真理亜。

「ゲホッ!?」

 地面に打ち付けられるアリア。

「アリアちゃん!? どうした!? 私以外の誰にやられた!?」

「真理亜ちゃん・・・・・・。」

 真理亜はアリアと再会することで記憶を取り戻す。

「どこにいたんだよ? みんな、心配していたんだよ。」

「ちょっと記憶喪失になって、この辺をブラブラしていたんだ。」

「記憶喪失? 真理亜ちゃんらしいね。」

「でも思い出したんだ! アリアちゃんと出会って、私を思い出したんだ!」

「そりゃそうさ・・・・・・私はアリアちゃんの永遠のお隣だからな。」

「そうだ。アリアちゃんは私の永遠のお隣さんだ。だから! 死ぬな!」

「死なないよ。だって私が死ぬ時は真理亜ちゃんも一緒に死ぬんだから。」

「それでいい。アハッ!」

 永遠のお隣さんはライバルであり、幼馴染であり、お友達である。二人は強い友情と絆で結ばれている。

「あいつ、強い?」

「攻撃がスケスケした。神らしいよ。」

「それなら大丈夫。私も神の血を注ぐ者なんで! アハッ!」

 彼女のフルネームは大神真理亜。

「行ってくるね。アリアちゃん。」

「待ってるよ。戦闘後に私を助けるの忘れないでね。」

「アハッ!」

 図星を突かれる真理亜。

「天照モード!」

 真理亜が神々しい光を放ちながら空に羽ばたいた。

 つづく。

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