第33話 渋谷区少女たち

「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 〇〇少女ワールドは大金の賞金が出る戦略シュミレーション・オンラインゲームです。

「天下布武じゃ! お友達になろうよ! アハッ!」

 姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 良く出来た妹の楓の物語。


「こんな幼い子供が渋谷区渋谷の総大将だというのか!?」

 代々木軍の陣営に衝撃が走る。

「子供はお家に帰って、お母さんと遊んでいなさい!」

「はい! ・・・・・・なんでやねん!」

 楓はノリつっこみのできる女の子であった。

「私が子供だからといって、私の話を聞かないのであれば、私のサイキックで、おまえたちをマインドコントロールして、強制的にいうことを聞かせることもできるんだがな。」

「なんて!? 恐ろしいガキだ!?」

「ガキではない。私は幼女だ。」

 小学生の楓に踊らされる元代々木軍の少女たち。

「分かった。話を聞こう。」

「素直でよろしい。最初から素直に私の言うことを聞いていれば良かったのだ。」

 あくまでも上から目線の小学生。

「渋谷区の覇権を争う、eスポーツ的な〇〇少女ワールドは一時休戦だ。」

「いいだろう。その提案は呑もう。」

「確かに今は我々が争っている場合ではない。」

 現在は、現世に甦った明治天皇少女が猛威を振るっている。

「次に質問だ。あれは何だ?」

 楓は明治天皇少女のことを詳しく知らない。

「私たちも知らない。代々木神園町の上空に突然現れて、いきなり破壊活動を始めたんだ。」

「〇〇少女ワールドをeスポーツというゲームで考えた場合。あれは隠しかキャラか裏技の類か!?」

 元代々木軍の諸侯にも、明治天皇少女のことは詳しく分からなかった。

「やはり、行くしかないのか。代々木神園町に。」

 全ての謎は代々木神園町で待っている。

「私たち渋谷区渋谷も何名かのアタック隊を編成して突入する。あの強力へ行きの前では大軍は狙いやすい的でしかないからな。」

「確かに。」

「分かった。私たちも北側から、代々木神園町に潜入する。」

「共同作戦の成立だな。」

 ここに敵対していた渋谷区少女たちは共通の敵を倒すために共闘することになった。

「最後につまらないことを尋ねるが、私のお姉ちゃんが迷子になっていて、そちらの陣営に紛れ込んでいませんか?」

「お姉ちゃん!?」

 もちろん宝物庫に封印されてしまった真理亜のことである。

「いますか? 楓ちゃんのお姉ちゃん。」

 しかし、誰も返事しなかった。

「いないようだ。」

「ありがとう。それでは代々木神園町で会いましょう。バイバイ。」

 楓との通信は途絶えた。

「あんな小さな女の子に心配をかけるとは、よっぽど頼りないお姉ちゃんなんだな。」

「きっとおバカなんですよ。毎日毎日、迷惑ばかりかけているんですよ。」

「そうだね。」

 その通り。今回の明治天皇少女の封印を解いてしまったのも真理亜である。全ての原因は楓の姉にあるのだった。

「それでは代々木神園町に特攻する日の丸隊の隊員を決める! これは命がけの任務である!」

 渋谷区渋谷に戻った楓は自軍の将校に今回の任務を演説する。

「・・・・・・。」

「死にたくないよ。」

「シーン。」

 もちろん、みんな、戦争なんて大っ嫌いだった。

「しかし、その分、隊員に選ばれれば、出番が与えられるのだ!」

「おお!」

 出番と聞いて、急にやる気が芽生える渋谷区渋谷の少女たち。

「それでは代々木神園町特攻隊の選抜選挙を行います!」

「おお!」

「選抜方法は・・・・・・。」

「歌か!? 踊りか!? それともデビューするアイドルみたいに枕営業か!?」

「じゃんけんです!」

「じゃんけん!?」

 渋谷区渋谷の少女たちに衝撃が走る。

「じゃんけんが一番平等だろ? それに痛くないし。アハッ!」

 ということで選抜メンバーをじゃんけんで選ぶことにした。

「全員で私とじゃんけんをして、勝った者、5人が日の丸少女隊で敵地に戦場デビューだ。自分の出番は自分で勝ち取れ!」

「おお!」

「ここで目立てば、自分の名前を売るチャンスだ!」

「活躍が認められれば、少しは自給が上がるはず!」

「武勲をあげて、契約更新だ!」

 勝利よりも自分の出番に目が暗んで、命や青春、操を売り飛ばす少女たちであった。

「それではいきます! じゃんけん、ポン!」

「ロン! 私の勝ちだ! ワッハッハー!」

「それは麻雀でしょ。」

「アハッ!」

 お約束の展開である。

「勝ったのは、広尾子、恵比寿子、比嘉死子、渋谷子、神宮前子、千駄ヶ谷子の6人か・・・・・・一人多いな。」

「はい! 私、辞退します!」

 辞退を申し出る渋谷子。

「まあ、いい。一人ぐらい多くても盾にぐらいはなるだろう。」

「そ、そんなー!?」

 渋谷子は楓に見捨てられた。

「それでは、渋谷区渋谷日の丸隊の少女たち、行ってらっしゃい。回転。ガラガラガラ。」

 本拠地から追い出される日の丸少女隊の6人であった。

「謎の飛行物体を撃破するぞ!」

「おお!」

 選抜隊に選ばれた神6たちは代々木神園町を目指すのであった。

「や、やっとたどり着いた。」

 その時、木の棒を杖にして宝物庫の前にたどり着いた生気を明治天皇少女に吸われた神園町子であった。

 つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る