第28話 神泉町少女
「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
〇〇少女ワールドは大金の賞金が出る戦略シュミレーション・オンラインゲームです。
「天下布武じゃ! お友達になろうよ! アハッ!」
姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹の楓の物語。
「おまえは誰だ!?」
呪われた宝物庫を開けてしまった真理亜。
「明治天皇だ!」
明治神宮だけに祀られている明治天皇なのだ。
「じゃあ、私は忙しいので。さようなら。」
関心がないので立ち去ろうとする真理亜。
「おい!? 待て!? せっかく私の封印を解いてくれたのだ!? おまえに良いことを教えてやろう!」
「良いこと? なになに?」
自分に利益がありそうだと興味がある真理亜。
「今の世の中は腐っている。人間と人間が争い、争い、また争い。こんな世の中は間違っていると思わないか?」
「良いことって、なに?」
自分の利益しか興味がない真理亜。
「今の令和の世の中をぶっ壊して、明治に戻した方が良いと思わないか?」
「思わない。」
「なに!? なぜだ!? こんな人のぬくもりの無い世の中の方が良いというのか!?」
「だって、明治にはドリンクバーがないから。」
「ど、ど、ど、ど、ドリンクバー!?」
真理亜はこういう人間である。
「それはなんだ!? 核兵器か!? それとも細菌兵器か!?」
「違うよ。ジュースやお茶が飲み放題のことだよ!」
「なんと!? ドリンクバーとは新兵器のことであったか!?」
素晴らしく天然な明治天皇。
「良いことを教えてくれないなら、私は帰る!」
「分かった! 良いことを教えてやろう!」
遂に語られる良いこと。
「私の封印を解いてくれた、おまえの命だけは助けてやろう。」
「んん? それが良いことなの?」
「そうだ。命があることは良いことだろう? 羨ましい。」
真理亜にとって良いことは、生命の維持であった。
「富国強兵だ! 私はこの時代を滅ぼして、明治時代の日本を取り戻す! 逆明治維新を成し遂げるのだ!」
これが封印が解かれた明治天皇の野心であった。
「まずは手始めに、この渋谷区を殲滅してくれる! そして日本全土! 世界中を我が手に治め支配するのだ! ワッハッハー!」
破壊者の笑い方はだいだい同じである。
「それは無理だね。」
「なんだと?」
「だって天下布武をするのは私だから。」
真理亜はキメ顔で自分の夢を語る。
「なに!? 我が野望を邪魔するというのか!?」
「同じ夢なら仕方がないね! 私の夢は誰にも奪えない!」
明治天皇と真理亜に対決色が強まる。
「こうなったら私のタイキックでおまえを倒す!」
「できるかな? おまえは私の前では何もできないまま敗れ去るのだ!」
明治天皇の霊力が急上昇する。
「くらえ! 明治天皇! 必殺技! 宝物庫へ、ポン!」
「うわあああああー!?」
真理亜は宝物庫に封印されてしまった。
「私は約束は必ず守る主義でな。おまえの命だけは助けてやろう。ワッハッハー!」
現世によみがえった明治天皇の猛攻が始まる。
「楓ちゃん、神宮前から速達です。」
ここは平和な渋谷区渋谷の妹の楓と渋谷子。
「なに? 援軍を寄こせ?」
速達には同盟国としての神宮前からの援軍要請であった。
「なになに。代々木が千駄ヶ谷で・・・・・・なんだって!?」
文面に驚く楓。
「どうしたの楓ちゃん?」
「代々木が千駄ヶ谷で細菌兵器を使ったらしい!?」
「なんだって!? 最近調子はどう?」
「便秘気味・・・・・・違うー!?」
あまりの衝撃に脱線する楓たち。
「新型ロナ・ウイルスというものをばらまいたらしい!?」
「それじゃあ!? 千駄ヶ谷はウイルスで死の街になってしまったのね!?」
ウイルスの恐怖を実感する楓たち。
「どうするのよ!? 神宮前の援軍要請は!? 同盟のお友達を見捨てることはできないわ!?」
「大丈夫よ。私に考えがある。」
「え?」
「おい、そろそろ目覚めてくれないか?」
楓はお昼寝していたアリアを起こすのであった。
「何人たりとも私の眠りを妨げるものは許さない!」
お昼寝を邪魔されて怒っているアリア。
「その手があったのか!?」
納得する渋谷子。
「パンダちゃん、あなたの眠りを妨げたのは神宮前よ。好きに遊んできていいわよ。」
「アイアイサー!」
ドピューンと家の天井を破壊してロケットの様に空を飛んでいくアリア。
「誰が天井の穴を防ぐんだ!?」
「もちろん谷子ちゃんよ。」
「え!? 私!?」
「だって私はガトーショコラを作るんですもの。」
楓の趣味はお菓子作りである。腕前は連撃と同じくプロ級。
「とほほ・・・・・・。」
悲しみに暮れる谷子であった。
「安心しなさい。出来たら食べさせてあげるから。毒見としてね。」
「オエー!? 毒見!?」
「アハッ!」
まだ楓は姉の真理亜が明治神宮の宝物庫に監禁されているとは知らなかった。
「やったー! 勝ったぞー!」
勝利に歓声をあげる鉢山町子、南平台子、桜丘町子の三人。
「や、やられた!? ・・・・・・だが、これで勝ったと思うなよ。神山町子様と松濤子様が私の仇を討ってくれるからな!?」
捕まった神泉町子は、更なる強敵の存在を示唆するのであった。
「私たちの出番、少なくねえ?」
「仕方がないよ。尺がないんだって。」
「もう、この展開が同じ身になって来たな。」
これでいいのだ! アハッ!
つづく。
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