第19話 恵比寿少女
「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
〇〇少女ワールドは大金の賞金が出る戦略シュミレーション・オンラインゲームです。
「お友達になろうよ! アハッ!」
姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹の楓の物語。
「なに? 恵比寿西が落ちただと? ワッハッハー! 冗談はよせ。」
寝耳に水の報告を受ける恵比寿を領土とする恵比寿子(エビ・トシコ)。
「本当です!? 本当に恵比寿西は陥落しました!?」
真剣に報告する兵士。
「では妹はどうなった!?」
恵比寿西は寿子の妹西子が治めていた。
「はい。恵比寿南に落ち延びたそうです。」
「そうか。恵比寿南にはクロックやケンタッキーフライドチキンの本社もあるし、恵比寿駅という要塞もあるから安全だろう。」
〇〇少女ワールドの世界では駅は移動手段や重要な軍事拠点としての要塞、若しくは砦でしかない。ということは、羽田空港なんかを占拠していると、旅客機だけでなく、爆撃機も発進できるということになる。なんと恐ろしい。
「フッ、指揮官とは、兵士が見ている前では常に冷静でなければいけないのだ。」
それが寿子の流儀である。
「大変です!? 寿子様!?」
慌てた兵士がやって駆け込んでくる。
「騒がしい。今度はなんだ?」
「恵比寿南が陥落しました!?」
「はあ!? おまえは何を言っている!? 何かの間違いだろう!? ふざけんな!?」
思わずクールな寿子も正体が出てしまう。
「いえ!? 恵比寿駅にも敵軍の旗が掲げられています!?」
「なんだと!? どこだ!? 東か!? それとも代官山か!? まさか猿楽町などではないな!?」
「それが・・・・・・渋谷区渋谷です!」
「なんだと!? 渋谷区渋谷!?」
青天の霹靂だった。
「ちょっと待て!? 恵比寿は渋谷区渋谷とは隣接していないんだぞ!? どうやって渋谷区渋谷が恵比寿に攻めて来るというのだ!?」
〇〇少女ワールドのルール。攻撃できるのは隣の住所だけ。ただし特殊能力は除く。
「渋谷区渋谷は、代官山や猿楽町などの周辺の弱小国を一つにまとめ、今や恵比寿よりも強大な国家になっております!」
「なんですと!?」
初めて知る驚愕の事実。
「それでは!? 私が広尾や東と交戦している間に、渋谷区渋谷は中原の弱小国をを平定したというのか!? バカな!? 信じられん!?」
強国同士の長期戦は勝てればいいが、未だに勝負がついていない持久戦になってしまっていた。その隙に弱小国を一つにまとめた方が良かったのかもしれない。
「どうやって!? 弱小国どもを手に入れたというのだ!?」
「渋谷区渋谷は姉と妹が支配していて、妹は弱小国の少女たちに信頼してもらうために、姉を差し出したそうです!」
正確には、ただのおバカな姉に恨みをもつ少女たちにボコボコにされたという、姉狩りである。しかし、歴史がどう伝わって行くのかは分からない。伝言ゲームと同じである。みかんで始めたのに最後にはリンゴになっているのである。まあ、なんと恐ろしい。
「夢や希望!? 勝利のために命を捧げる!? まるでジャンヌダルクではないか!?」
どうも渋谷のジャンヌダルクです。アハッ! 真理亜は新しい称号を手に入れた。
「あ! あ! 恵比寿!」
「なんだ!?」
その時、外からスピーカーで叫ぶ声が聞こえてくる。
「私たちは中原の覇者! 渋谷区渋谷だ! 速やかに降伏しなさい! そうすれば命だけは助けてあげよう!」
現れたのは渋谷子、鶯谷町子、猿楽町子、代官山子の渋谷区渋谷の恵比寿攻略組である。
「あんな凸凹の形崩れに妹たちは負けたというのか!?」
「凸凹で悪かったな。」
「まあ、いい。おまえたちに恵比寿ガーデンプレイスの真の恐ろしさを見せてやる! ポチットな。」
恵比寿子がボタンを押した。「ガガガガガ!」恵比寿ガーデンプレイスが地面から浮き上がり空に飛んだ。
「キャアアアアアア!?」
「地震だ!?」
「そ、空を飛んでる!?」
「鳥だ!? 飛行機だ!? 街が飛んでる!?」
慌てふためく四人のお友達たち。
「見たか。これが空中都市、恵比寿ガーデンプレイスだ。今から神の裁きを行ってやろう。恐怖するがいい。そして渋谷区は私の物になるのだ! 私は神になるのだ! ワッハッハー!」
寿子の渋谷占領作戦の真打は空飛ぶ破壊兵器、恵比寿ガーデンプレイスであった。
「自分の家でゴロゴロしているとほっこりするな。」
「そうだね。私たち子供の頃から一緒にゴロゴロしてたね。」
「アハッ!」
真理亜とアリアはお隣さんの幼馴染。次がほっこりコンテストで、恵比寿編を1話で書いてしまうと3000字を超えそうなので尺の問題だ。
次回へ、つづく。
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