第18話 赤飯少女
「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
〇〇少女ワールドは大金の賞金が出る戦略シュミレーション・オンラインゲームです。
「お友達になろうよ! アハッ!」
姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹の楓の物語。
「小豆!?」
昔、敵に挟まれた織田信長に兄弟のお市が、旦那の浅井長政の裏切りにより挟まれていますと伝えるために小豆を送ったらしい。
「お赤飯だ! やったー!」
全て食べ物に発想する食い意地の張った真理亜。
「違うわよ。私たち渋谷区渋谷は、代官山町、猿樂町、鶯谷町、鉢山町、南平台町、桜丘町を手に入れて、恐らく渋谷区で一番の勢力になった。」
「おお!」
「私たちが一番!」
「一番が一番!」
渋谷区渋谷のお友達たちは自分たちが一番だと大いに盛り上がる。
「一番じゃないとダメなんですか!? 二番じゃダメなんですか!?」
姉の真理亜だけがお友達の一体感に水を差す。
「吊るせ。」
「おお!」
「何をする!? 離せ!? 私は渋谷区渋谷の総大将だぞ!? ギャアアアアアア!?」
楓の命令で十字架に縛られて真理亜狩りに再びされる。
「こらー!? 小学一年生の言葉に操られてどうする!? おまえら!? 私のお友達だろ!? お友達の私を助けろよ!?」
「・・・・・・。」
しかし誰も真理亜を助けない。
「お姉ちゃん、お友達に年齢は関係ないのよ。どちらのお友達が優秀で、自分を勝利に導いてくれるか。それがお友達を選択する時の最優先事項よ。」
「アハッ!」
笑って聞かなかったことにする真理亜。
「おまえたち!? お友達を見捨てるなんて最低だぞ!? こらー!? 聞いてるのか!?」
「さあ、作戦会議を始めるわよ。」
「おお! マスター楓様!」
誰にも相手にされない真理亜。逆に楓に忠誠を誓うお友達たち。
「私たちは横のラインを領地にした。しかし、その性で北からも南からも攻められる可能性がある。」
「うんうん。」
「そこで南には、東、恵比寿、広尾と三国しかないので、先に南を制圧して、後方の憂いを絶つことにします。」
「おお!」
「まずは三国に分裂した恵比寿を叩くわ。」
恵比寿は三姉妹が仲が悪く、恵比寿西、恵比寿南、恵比寿に分裂している。
「最初に恵比寿西を攻撃するんだけど、その隙に渋谷区渋谷が東に攻められても困るので、誰かに留守番をしてもらわないといけないのよ。」
チラッと楓は渋谷子を見る。
「ええー!? 私ですか!? む、無理、無理、無理、無理ですよ!?」
「お留守番、私たちがやってあげよう。」
その時、複数の少女たちが現れる。
「アリア!?」
「パンダちゃん。」
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
魔法少女アリアがお友達を連れて凱旋した。
「元気だった。楓ちゃん。」
「うん。アリアお姉ちゃん。心細かったよ。」
「大丈夫だよ。私が帰ってきたからには真理亜ちゃんの好きにはさせない!」
「おお! さすがアリア親ビン!」
「この人達は?」
「鉢山町子。南平台子。桜丘町子。私の親衛隊らしい。」
「私たち!」
「三人合わせて!」
「アリア親衛隊!」
「私も疲れたから留守番してるよ。」
「ありがとう。パンダちゃん。」
ということで留守番はアリアたちが行うことになった。
「谷子ちゃんも恵比寿遠征に参加してね。アハッ!」
「ええー!? 私に他国に攻め込むなんて無理だよ!?」
「問答無用。でも確かにちょっと不安なメンバーだけど、まあいいっか。アハッ!」
メンバーは渋谷子、鶯谷町子、猿樂町子、代官山子の四人である。武将の数だけは足りているのだが・・・・・・戦闘力が不安であった。
「あれ? 楓ちゃんは総大将として、恵比寿に行かないの?」
「私はパンダちゃんのためにタピオカドリンクを作るの。だって小学一年生が戦場だなんて怖いもん。アハッ!」
(このクソガキ!?)
四人のお友達が楓の態度に殺意を覚えた。
「それでは恵比寿制圧隊は行ってらっしゃい!」
「はい・・・・・・。」
士気のない恵比寿に向かうお友達たち。
「じゃあ、私も魔法力を使いすぎたので寝るとするか。」
「北の防衛ラインは私たちにお任せください!」
「ありがとう。よろしくね。」
アリア親衛隊は早速、北側の防衛ラインの守備に着いた。
「おい、アリア。私のロープを解いてくれ。」
「あれ? いたんだ真理亜ちゃん。静かだからいないと思っていた。」
「ロープを解いてくれたらおまえに良い物をやるぞ。」
「良い物?」
とりあえずロープを解くアリア。
「ほれ、戦勝祝いの赤飯だ。ちゃんと塩をかけて食べろよな。」
「ありがとう。真理亜ちゃん。」
「やはり私の横には、アリアちゃんがいないとな。私の永遠のお隣さんだからな。」
「そうだね。私しか真理亜ちゃんの暴走は止められないからね。」
「そういうことだ。アハッ!」
なんと真理亜は縛られる前に、赤飯をおこわ機に入れて蒸していたのだった。
「美味しい。さすが我がライバルだ。」
「だろ。私は料理もできるタイキック少女なのだ。」
「サイキック少女だろ。真理亜ちゃん。少しズレてるよ。」
「アハッ!」
二人は仲良く赤飯を食べたそうな。
つづく。
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