第14話 鶯谷町少女
「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
〇〇少女ワールドは大金の賞金が出る戦略シュミレーション・オンラインゲームです。
「お友達になろうよ! アハッ!」
姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹の楓の物語。
「いざ! 出陣じゃ! 天下布武じゃ!」
真理亜は鶯谷町に侵攻する。
「ちょっと待った。」
「なぜ止める!? 我が妹よ!?」
いつもの様に妹に止められる姉。
「このゲームの戦闘って、なに?」
「ええー!?」
そんなことも決まっていなかったようなクソゲーの〇〇少女ワールド。アハッ!
「少女と少女の殴り合いでしょ!」
「じゃあ、鶯谷町少女にもアビリティーや必殺スキルがあるはずよね。お姉ちゃん、勝てるの?」
「ギクッ!?」
一瞬、たじろぐ真理亜。
「だ、大丈夫よ! 私には必殺のタイキックがあるもの!」
「サイキックよ。お姉ちゃん、少しズレてるよ。」
「アハッ!」
お約束の展開。
「でも鶯谷町には占領すべき本拠地らしき施設も一つもないから、やっぱり鶯谷町少女を倒すしかないんじゃないかな? 私が行ってこようか?」
アリアが進言する。
「私の初陣を邪魔しようとは!? さすが我が永遠のライバル!?」
そう思っているのは真理亜だけである。
「じゃあ、二人で行けば。」
「なにー!?」
「分かった。行ってくるね。楓ちゃん。」
「パンダちゃん、不束なお姉ちゃんを宜しくお願い致します。ペコッ。」
楓はアリアのことをパンダちゃんと呼ぶ。お隣さんなので小さい頃にパンダごっこをして遊んでもらったからだ。
「私の足を引っ張るなよ!」
「大丈夫だよ。私が一瞬で鶯谷町を地獄に変えて見せるから。」
こうして真理亜とアリアは鶯谷町に出陣した。
「ふう~、留守番で良かった。漫画でも読んでゆっくり暮らそう。」
戦闘要員ではない渋谷子は胸を撫で下ろした。
「谷子ちゃんには、施設の役割や収入源、資源の確保、秘密基地の設置、ロボットの開発、技術の向上の方法など、考えてもらうことが山積みよ。」
「ええー!? マジで!?」
「サボるなら、マインドコントロールで操り人形にして24時間働かすわよ。」
「ヒョエー!?」
残るのも地獄であった。
「私は小学一年生らしくパンケーキでも焼いてるから、後をよろしくね。」
「鬼だ・・・・・・。」
「アハッ!」
キッチンに消えていった楓は他人に厳しく、自分に優しい。
「ドクン!」
その時、一回だけ谷子の心臓が激しく反応した。
「ホー! ホケキョ!」
鶯谷町の少女は泣いていた。
「おまえが鶯谷の少女だな。」
「そうよ! 私が鶯谷町子よ!」
「なら、死んでもらう!」
「え?」
キョトンとする町子。
「私は魔法少女だ。」
「私はタイキック少女です。アハッ!」
「あなたたち!? 何を言っているの!?」
〇〇少女とは、何らかの特殊スキルを持っている。
「まだ〇〇少女の特殊スキルに目覚めていないのか。」
「特殊スキル?」
「可哀そうに。」
特殊スキルに名前は、まだ無い。少女スキル? 必殺スキル? 悪魔のみスキル? スタンドスキル? 〇〇少女スキルが妥当か?
「魔法少女アリアの名において命じる! 全てを燃やし尽くせ! ファイア! 100倍!」
アリアは魔法少女であった。
「うんな!? アホな!? 〇〇少女ワールドは少女同士の殴り合いの格闘ゲーなのか、異世界ファンタジーの剣と魔法で戦うのか、侍少女らしく刀で斬りあうのか、ロボットが出てきて登場してビームライフルやビームサーベルの兵器で戦うのか、戦闘方法すら決まってないんだけど!?」
「いや~いいかげんな設定ですな。アハッ!」
それが〇〇少女ワールド品質。
「そんなもの! 私の知ったことか! 悲しみと共に燃え尽きろ!」
「いや!? 死にたくない!? キャアアアアアアー!?」
燃え盛る炎が飛んできて、鶯谷町子は死を覚悟した。
「ダメ!」
真理亜の叫び声がアリアの極大ファイアをかき消す。
「ダメ!」
「ダメ!」
「ダメ!」
「ダメ!」
真理亜の叫び声は木霊した。
「町子ちゃんは私とお友達になるの! いくらアリアちゃんでも町子ちゃんをいじめたら、私が許さないわよ!」
青い闘気、サイキックオーラが体から湧き出している真理亜。瞳の色も青く光っている。
「クッ!? おバカ過ぎて、真理亜ちゃんが超能力少女だということを忘れていた!? さすが私のライバルね!?」
アリアと真理亜の戦闘レベルはハイレベルで互角だった。
「どうして!? 侵略してきた、あなたとお友達にならないといけないのよ!? お友達なんかになれる訳ないでしょ!?」
「なるわよね? 私とお友達。」
ギロっと睨む狂気の真理亜。
「ヒイイイイイー!?」
「従わないなら、私のタイキックで従わせるまでだ。」
「なります!? お友達になりますから!? 命だけはお助け下さい!?」
無条件降伏する町子。
「これで鶯谷町も渋谷区渋谷領だ。」
渋谷は鶯谷町を手に入れた。
「私は真理亜。こっちはアリアちゃん。」
「よろしく。」
「はい。」
「町子ちゃん、今日から私たちはお友達だね。アハッ!」
こんなお友達の増やし方があってもいいのだろう。
つづく。
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