第13話 初陣少女
「eスポーツになっちゃった! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
〇〇少女ワールドは大金の賞金が出るオンラインゲームです。
「お友達になろうよ! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
姉の真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹の楓の物語。
「いざ! 出陣じゃ! 天下布武じゃ! アハッ!」
真理亜は渋谷区を統一する
「どうぞ。」
「え? 楓、止めないの?」
「止めないわよ。だって止める理由がないんだもの。」
「いや!? 止めてもらわないと調子が狂うんだよね。」
お約束の形が崩れる時もある。
「なら止めましょうか?」
「お許しください! 楓様!」
妹に平謝りする姉。
「まずは神宮前子に攻め込んでやる!」
「やめいー! 同盟中だ!」
「アハッ!」
〇〇少女ワールドでお友達を裏切ることは許されない。ペナルティーは自領の爆破である。
「じゃあ、どこを攻めるのよ?」
「私たちの渋谷区渋谷が隣接しているのは、神宮前、神南、道玄坂、桜丘町、鶯谷町、猿楽町、東の7つよ。」
「離れている土地には攻撃はできない。または攻撃されない。」
「グダグダしていると、敵が領土を増やしてしまうリアルタイムゲームです。」
「そうなんだ。知らなかった。アハッ!」
徐々に設定が決まっていく〇〇少女ワールド。
「最初に強国を攻めるか、それとも自国よりも弱い国を滅ぼすか、難しい選択ね。」
その時、戦況のお知らせが流れる。
「神宮前が千駄ヶ谷に攻撃を仕掛けました。」
一番に神宮前子が動いたのだった。
「上手いわね。」
「安い! 早い!」
「牛丼屋じゃない!」
「ギャア!? 殴らないで!? このお詫びは、この胸を掻っ捌いて自害するでござる!」
切腹の衣装に着替える真理亜。
「見事に切腹してみせます!」
「お姉ちゃんはほっといて、みんなでどこを攻めたらいいか考えましょう。」
「そうだね。」
無視される真理亜。
「悲しい・・・・・・。」
そろそろ切腹に飽きてきた一同であった。
「南の私たちと同盟を結び後方の憂いを絶って、北の千駄ヶ谷に攻め込んだのね。」
「東は新宿区だから、今回は気にしなくていいもんね。」
「やはり端から攻めるのが上策ね。」
陣地取りゲームの基本である。真ん中を取ると一気に他国から攻められる可能性があるからだ。
「みんな! 考え過ぎよ! 相手の戦力が整っていない1ターン目から他国に攻め込むのがセオリーよ!」
真理亜にしては中々に良いことを言う。真理亜が言ったことを実践しているのは神宮前である。
「お姉ちゃんが考えなさすぎなのよ。」
「アハッ!」
笑って誤魔化す真理亜。
「じゃあ、真理亜ちゃんはどこを攻めるの?」
「鶯谷町!」
「その心は?」
「何も無いから!」
道玄坂や神南、東ではなく、自分よりも弱い所を攻めて領地を増やす作戦のようだ。
「広尾と恵比寿が小競り合いを始めました。」
「恵比寿南と恵比寿西が姉妹同士で争いを始めました。」
ドンドン戦闘地域が広がっていく。
「元代々木町が代々木の傘下に入りました。」
「松濤と神山町がセレブ同盟を結成しました。」
「セレブが手を組んで貧乏人を蹂躙する気かよ!?」
リアルタイムのオンラインゲームでは動かなければ死ぬのを待つだけである。
「どうすればいい!? どう動けばいい!? 私の選択一つで、私の未来は変わってしまう!?」
楓は行動の最終決定の判断に迷っていた。
「東が広尾に攻め込みました。」
遂に時は動いた。渋谷区渋谷の南にある大国の東が恵比寿と広尾の戦争状態を見て、隙をついて広尾に攻め込んだのだった。
「チャンス! 敵が動いた! お姉ちゃん! 出陣よ!」
「おお! 東の背後を突くのね!」
「違うわ!」
「え?」
鳩が豆鉄砲を食ったよう顔をする真理亜。
「攻め込むのは鶯谷よ! まずは弱い国を占領して自国の戦力をUPさせることが大切よ!」
「ほれ! みろ! 私の言った通りではないか!」
「お姉ちゃんの場合は弱い者いじめ的な発想でしょ。」
「アハッ!」
笑って誤魔化す真理亜。
「待ってろ! 鶯谷町! 直ぐに私のものにしてやるからな!」
何はともあれ、渋谷区は鶯谷町に進行することを決定したのだった。
つづく。
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