第8話 お友達少女

「マインドコントロールで、君の心も自由自在! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 妹の楓、新しいキャッチフレーズ試行錯誤中。

「私は置物ではないぞ!?」

 不平不満を訴える姉の真理亜。

「最後はヒーローにしてあげるから大人しくしときなさい。お座り!」

「ワン!」

「お手!」

「ワン!」

「三回回っワン!」

「クルクルクル、ワン!」

 扱いやすい素直な姉。

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 仲良し姉妹の物語である。


「いざ、戦争だ! 天下布武じゃ! この廃れ切った世の中を私が太平の世の中に変えるんだ!」

 士気が高まる真理亜。

「ちょっと待って。」

「こら! 楓! なんで止めるのよ!?」

 イノシシの様に調子に乗っている姉を止める妹。

「兵士や社員という数だけでなく、武将やリーダー、主任、課長といった中間管理職が必要ね。」

「言われてみれば!?」

「それを、〇〇少女ワールドでは、お友達といいます。」

 がんばってURやSクラスのお友達が出るまで大金を課金してね。アハッ!

「それでは一人目のお友達を呼んでみましょう。どうぞ!」

 そこに一人の少女が現れる。

「渋谷区渋谷のお友達は渋谷子ちゃんだ!」

 渋谷に子を付けただけである。

「どうも、渋谷子です。よろしくお願いします。」

「宜しくお願い致します。」

 昔、他作で使った渋井谷子の名を使うか検討中。

「なんだ? この地味な奴は? 本当にこんな普通そうな奴で、〇〇少女ワールドを戦えるのか?」

 真理亜は半信半疑で渋谷子を見る。

「ちょっと待った!」

 そこでちょっと待ったコールが入る。

「真理亜ちゃんのお友達といえば、永遠のお隣さんでライバルの私だろうが!」

 真理亜の家のお隣さんで幼馴染のアリアが現れた。

「おお! 我が永遠のライバル!」

 真理亜とアリアはライバルでもあるが仲良しである。

「ごめんなさい。アリアちゃん。今回はキャラクター名を考えるのが面倒臭いので地名に子を付けることにしたの。」

 趣旨を説明する楓。

「そ、そんな!? 酷い! 私のことを弄んだのか!? 好きでもないのに好きと言ったのか!?」

 遊ばれた女を演じるアリア。

「そんなことはない! 私は君のことが好きだ!」

 往生際の悪い男役の真理亜。

「復讐してやる! あなたが幸せになることだけは許さない! どこか他国で仕官して恨みを晴らしてやる!」

 アリアは野に降ろうとした。

「分かった! パンダちゃんも特別枠で、お友達よ!」

 その時、楓がアリアを引き留める。もちろんお隣さんなのでアリアと楓も面識がある。

「ありがとう! 楓ちゃん!」

「だって私たちお友達だもの。アハッ!」

 笑顔の二人。

「アリアちゃんは魔法少女。他国に行かれて活躍されるくらいなら、自国で飼いならした方がいいわ。」

 冷静な楓の裏の顔であった。

「あの・・・・・・私はどうなるんでしょう?」

 渋谷子は自分の立場の危うさを気にしている。

「渋谷子ちゃんもお友達よ。みんな、真理亜お姉ちゃんのお友達。出来損ないのおバカなお姉ちゃんだけど、よろしくお願いします。ペコッ。」

 丁寧に姉を頼む妹。

「良く出来た妹さんだ。」

 アリアと渋谷子は楓に感心するのだった。

「ウッ!? 姉である私の立場がない!?」

 いつも妹に押されている姉であった。

「改めて自己紹介するわ。私はタイキック少女の大神真理亜!」

「サイキック少女だよ! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!」

「アハッ!」

 お約束の展開。

「いつものことだから気にしないで。」

「は、はい。」

 新入りの渋谷子を気遣うアリア。

「私はアリア。魔法少女さ。」

「魔法少女?」

「分かりやすくいうと、現代版が超能力少女で、魔法少女は過去版かな?」

「う~、分かりません。」

 魔法少女を説明するのは難しいのであった。

「私は渋谷子です。渋谷に住んでいるというだけです。アハッ!」

「もしや渋谷子ちゃんはアハ教徒!?」

「そうです。良い子はみんなアハ教徒です! アハッ!」

 真理亜のお友達=アハ教徒である。

「そうだったのか!? やはり私は真理亜ちゃんのお友達じゃなかったんだ!?」

 やはりアリアは永遠のライバルのお隣さんであった。

「笑っていれば何でもできる! いくぞ! 1! 2! 3! アハッ!」

 恐ろしいアハ教の教えである。

「アハッ! アハッ! アハッ! アハッ! アハッ!」

「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」

 良く出来た妹の楓であった。

 つづく。

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