第7話 渋谷区渋谷少女
「君の心も自由自在! マインドコントロール! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
楓、新しいキャッチフレーズ募集中。
「ええー!? 今まで清楚で可憐なイメージでやって来たのに、この新しい私の設定は何!?」
真理亜、人間の本性を演じる。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
仲良し姉妹の物語である。
「侵略じゃ! 蹂躙してやる! 全て私の物にしてやる! アハッ!」
真理亜は他国への侵攻を始めようとした。
「ストップ。」
「なぜ止める!? 楓!?」
しかし妹の一言に止められる。
「まずは自国の渋谷区渋谷を考えましょう。」
いきなり他国に攻め込むのではなく、自国領を見直してみることにした。
「一度に3000人が歩行して他人にぶつからないという世界的に有名な奇跡のパワースポット! 渋谷スクランブル交差点!」
渋谷の一番人気のある観光スポットである。
「新しい高層ビル! 高さ230メートルのスクランブルスクエア!」
「女子医大病院の入る渋谷クロスタワー! おまけに渋谷ヒカリエ! さらに渋谷ストリームも渋谷区渋谷なのだ!」
渋谷区渋谷。隣国からすると羨ましい限りの商業施設や病院を要するのだった。
「更に! 渋谷警察署も渋谷区渋谷! 渋谷郵便局も渋谷区渋谷なのだ!」
調べれば調べるほど面白い地図の世界。
「ああああああああああー!?」
ここで真理亜が何かに気がついた。
「青山学院って、港区のイメージだったけど、実は渋谷区だったんだ!? しかも自国領の渋谷区渋谷! アハッ!」
これで傷ついた兵士を治療したり、入院させる病院を確保。また大学もあることによって優秀な人材の確保がしやすくなる。
「ちなみに渋谷区には広尾に赤十字病院もあります。アハッ!」
良く出来た妹のピンポイント情報である。
「代々木にJR病院!? 恵比寿に都立広尾病院!? なんなんだ!? この恵まれた施設の数々は!?」
様々な施設は、結局は自分の家の側に無ければ行くことはできない。恵まれている渋谷区。
「占領する地点は、大学や病院だな。アハッ!」
「駅だけじゃなかったのね。あと警察署、消防署、郵便局もあると嬉しいわね。」
「あ、渋谷区役所を忘れてた! アハッ!」
「渋谷区といえば、NHK! テレビ局や大企業も占領の対象よね。」
「全てを占領して、全てを手に入れてみせる! 天下布武じゃ!」
困った時の天下布武!
「お姉ちゃん、うるさい。」
楓は奥の手に出ることにした。
「超能力少女! 楓の名において命じる! マインドコントロール!」
「ほえ?」
妹は姉に超能力で操り人形にする。
「落ち着きなさい! お姉ちゃん!」
「はい。ジャア・・・・・・。」
口にファスナーをする真理亜。
「これで良し。」
置物の真理亜の出来上がり。
「まず勝利条件は、敵の殲滅か、敵の本拠地を占領ね。」
戦争モノの定番である。
「占領できる施設は、区役所、警察署、郵便局、消防署。後は大学、病院、スーパーやコンビニも大切よね。」
楓はリアルマップを見ながら、占領地点を想定していく。
「区役所は渋谷区国の城。警察署は治安維持? 特殊な兵士のようなモノかしら? 郵便局は情報伝達、物資の補給係ね。消防署は戦争で被災した時の鍛冶の鎮圧や負傷者の救出ね。」
まだまだ創作中の占領地点。
「大学は優秀な兵士を訓練できるだろうし、病院は戦争で負傷した兵士や人々の治療や入院ができる。スーパーやコンビニで食料も売っているだろうし、でもコンビニで武器や弾丸を売っていたら戦争が激化して災厄だわ。」
改めて武器屋は独自に作った方がいいのではと思う楓。
「でも自国の兵器工場と民間の兵器工場は別よね。そうしないと重工系の会社が潰れちゃう。それに戦争に紛れて暗躍する戦争保険を売り出す保険会社がいてもおかしくない。自動車保険があるんだもの、戦車保険だってあったっておかしくない。」
楓の想像はドンドン膨らんで行く。
「考えすぎて疲れちゃった。おやつでも食べてこよう。」
楓はこの場から去って行く。
「おいしい!」
そしておやつを食べる楓。
「あれ? 何か忘れている様な?」
姉の真理亜はマインドコントロールされていて置物になっているので動けない。
「しまった!? お姉ちゃんだ!?」
やっと気づく楓。
「ハチ公象の横に並べてくるの忘れてた!?」
そこじゃない。
「首に「誰か優しい人、拾ってください。」というプラカードをつけるのも忘れた。まあ、いいっか。アハッ!」
ストイックな楓。
「はあ!? 私は何をしていたんだ!?」
いつか時間が経過して真理亜のマインドコントロールは解けるのであった。
「トイレ! 漏れる!」
これは仲良し姉妹が天下布武するお話である。
つづく。
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