第6話 夢ある小学一年生少女
「楓です。いつもおバカキャラの姉の相手に疲れてるとです。」
オープニングをジャックした楓。
「楓です。姉がお友達70億人キャンペーン実施中とうるさいので、他の展開が考えられなかったとです。」
お友達にこだわり過ぎたのかもしれない。
「楓です。どこかのネット小説投稿サイトがコとロナウイルスをNGワードにしたので、今が旬なウイルス小説は全てお蔵入りとです。」
トレンドなのに、なぜNGワードにしたのか不明。
「楓です。さあ! ゲームの始まりです。ここからは私が主役とです! アハッ!」
ありきたり、過去に成功した様な物語しかアニメ化されないんだよね。同じような作品ばっかり。
「痛い!?」
高校一年生の真理亜はおバカキャラである。
「誰!? こんな所に電信柱を建てたのは!?」
道を歩けば電信柱に当たる。
「電気屋さんでしょ。」
冷たく言い放つ楓。
「電気屋ぶった押す!」
「なら、お姉ちゃんは電気を使わないでよね。」
「え?」
「夜は真っ暗だし、テレビも見れない。スマホも充電できないよ。」
「それは断る!」
わがままな姉に愛想をつかしている妹であった。
「楓! あなたお姉ちゃんより、どうして電気屋さんの肩を持つのよ!?」
「前を向いて歩かないお姉ちゃんが悪いだけでしょ。」
「アハッ!」
笑って誤魔化す真理亜。
「はあ・・・・・・疲れた。誰かお姉ちゃんを取り換えてくれないかな?」
おバカな姉に良く出来た妹であった。
「いざ! 出陣じゃ!」
兵士の訓練を終えた真理亜は、遂に戦争を仕掛ける。
「ちょっと待った!」
「楓!? なぜ止める!?」
「どこに攻め込むのよ? お姉ちゃん。」
「え?」
何も考えていなかった真理亜。
「山手線を征服するのか? 東京23区なのか、47都道府県なのか、世界征服なのか、全宇宙の支配者になるのか、はたまた天界なのか、魔界なのか、どこに攻め込むのよ?」
色々なマップで楽しめることは大切だ。
「隣の原宿か、恵比寿かな?」
「違う! 他国を攻める前に自国を平定しないと、後ろから槍で突かれるわよ。」
「なんですと!?」
例えると織田信長でいう所の尾張内乱である。
「渋谷区の人口は約20万人。JR山手線の乗降者数は37万人で第5位。この数字だけを見ても他国を攻める前に自国を手に入れた方が早いわ。」
「いや~立派な妹を持って、お姉ちゃんは鼻が高いな。アハッ!」
妹のおかげで何とか生きている姉。
「問題は、どこに陣取るかで渋谷統一の難易度が変わるということよ。」
渋谷の有名な住所は、中央に渋谷、宇田川町、道玄坂、神南。南に恵比寿、広尾、代官山。北に代々木、神宮前、千駄ヶ谷。セレブタウンの松濤、神山町があるくらいである。
「決めた! 私の住所は渋谷区渋谷だ!」
「その心は!?」
「スクランブル交差点の住所を調べたら、渋谷区渋谷2丁目だったの! アハッ!」
ちなみに新築のビル、スクランブルスクエアも渋谷区渋谷である。
「良い土地を選んだわ! おバカなお姉ちゃんにしては、なかなかやるわね。」
「アハッ!」
運と奇跡と妹で持っている様な姉である。
「フッ。妹におバカだなんだとバカにされながら生きている姉の気持ちは分かるまい!」
優秀な妹を持ったために迫害されてきた真理亜は顔で笑って、心で泣いていた。
「覚えてろよ! 楓! 妹の分際でお姉さまに歯向かったことを後悔させてやる! いつか、いじめまくって復讐してやる!」
冴えない姉は他人に対する妬みや嫉妬しか持ち合わせていなかった。
「おい、心の声が漏れてるぞ。」
妹は姉の本心に気づいている。
「渋谷区を征服してやる! 天下布武の足掛かりにしてくれる! アハッ!」
直近の真理亜の目標は渋谷区長になることだった。
「こんなお姉ちゃんでごめんなさい。ペコッ。」
良く出来た妹であった。
つづく。
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