第15話

「知らない男と飲みに行かないから、大丈夫!

田中君は、ちゃんと私を家まで送ってくれる

もんね~。」


「はぁ………」


ご機嫌な私とご機嫌斜めな田中君。

会社の前を通ると、ちょうどエントランスから出てきた佐久間部長に会った。


「お疲れ様です、佐久間部長。」


田中君の声に反応して、私も挨拶をする。


「佐久間ぶちょお、お疲れ様ですぅ~」


部長に敬礼をしようとした私は、そのままよろめいて倒れそうになった。


慌てた田中君が腕を掴んで支えてくれた。


「すみません…」


なぜか田中君が部長に謝る。


「見事な酔っ払いだな…」


部長はあきれ顔だ。


「タクシー捕まえて帰りますので、失礼

します。」


「待て。

今日は、車だから、送ってやる。

瀬名の住所分かるか?」

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