第13話

「それは、営業の理屈でしょ?

 そのしわ寄せをSEに押し付けないでよ~。

 お陰で、何年彼氏ができないと思ってん

 のよ?」


「3年?」


「もっとよ!

ちょっとは申し訳ないと思いなさいよね!」


「それ、俺のせいか?」


「他に誰のせいだって言うのよ。

 合コンもできなきゃ、デートもできない。

 私が一生独身で終わったら、

 どうすんのよ!」


「そん時は、諦めて俺がもらってやるよ。」


「は!?

なんで、あんたなんかに、もらってもらう

のよ。

私にだって、理想があるんだから。」


「あんたなんか…って、失礼な!

俺だって、そこそこモテるんだからな。」


田中君は、結構モテる。

自称身長177㎝、水泳で鍛えた逆三角形のがっちりした体に、あっさりさっぱりした塩顔のイケメンだ。

その上、営業で鍛えた軽快な話術は、女の子を惹きつけて止まない。


「知ってるわよ。

でも、今さら同期の田中君とどうこうはない

でしょ?」


「じゃあ、お前の理想、言ってみろよ。」


「んー、クマさん!」

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